2022 Fiscal Year Research-status Report
Sumitomo's diversification into non-manufacturing businesses in the modern era Empirical research using a Collateral History Approach.
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22K13445
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
佐藤 秀昭 摂南大学, 経営学部, 講師 (40909488)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 住友 / 財閥史 / 担保史 / 近代大阪経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の研究状況は、概ね申請時の計画どおり進んでいる。2022年度は(1)文献・史料の収集、(2)データ入力、(3)論文投稿を行う計画であり、それらは下記の通り進行している。 (1)文献・史料の収集:御支給いただいた研究費を用いて、『三菱史料館論集』『三井文庫論叢』といった重要文献の収集を終えるとともに、財閥史関連の絶版本を古本屋を通じて数多く集めることができた。また、財閥に関する英語文献や、ファミリービジネス研究に関する最新(2000年以降)の単行本を管見の限りで収集し終えることができた。(2)データ入力:住友の経営史に関わる資料として、「本店仕訳帳」「会計方貸付帳」「田地抵当貸付帳」「諸倉庫貨物現在調」「土地台帳」「市内宅地台帳」「家賃収入帳」のデータを整理し、スプレッドシート上に分析可能な形に整えることができた。また、『商工資産信用録』の第26回、第33回調査に記録されたデータのうち、大阪の約1万8000名の住所・職業・資産・信用データをスプレッドシートに入力し、分析可能な形に整えた。(3)論文投稿:財閥史研究の成果をBusiness History誌に投稿し、『商工資産信用録』の研究成果を『社会経済史学』誌に投稿した。その他の成果として、経営史学会第58回全国大会における統一論題のコメンテーター報告、経営史学会関西部会・社会経済史学会近畿部会1月合評会における著者報告等の研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記述した通り、2022年度末時点では、申請時の計画とほとんど同様の進捗を得られている。計画から変更があった点は、次のとおりである。(i)国外ジャーナルへの投稿先と投稿内容について:元々は日本財閥史研究が英語文献の中でどのように受け入れられているのかをサーベイし、その成果をBusiness History Review誌に投稿する予定であったが、投稿先をBusiness History誌に、論文の内容を住友のケーススタディに変更し、上記のサーベイの成果は、同論文の先行研究整理に該当する節に反映させた。(ii)『商工資産信用録』の分析結果は2023年度に論文として投稿する予定であったが、前倒しして2022年度内に投稿を終えた(査読結果待ち)。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度中に終えた文献収集を基礎として、3本の論文を執筆する予定である。まず金融業については、「なぜ近世末に両替業から撤退した住友が、明治期に銀行業へ参入し、昭和初期において日本最大の預金高を得ることができたのか」という問いに答える論文を『経営史学』誌に投稿する。次に倉庫業については、「単なる預り貨物ではなく、貸金の担保として設定されている貨物の保管を主目的としていた倉庫は日本にどれだけ存在したのか」という問いに答える論文を『社会経済史学』誌に投稿する。そして不動産業については、「住友はいかにして大阪最大の土地所有者となったのか、その貸地・貸家業務は大阪のその他不動産業者と比較してどのような特徴を有していたのか」という問いに答える論文を『歴史と経済』誌に投稿する。 これらの分析は、2022年度末における本研究の課題を部分的に克服しようとする試みである。同年度末までの研究成果は、住友という個別の経営体の実態について、これまで明らかになっていなかった部分を一次史料に基づき明らかにしたものであった。しかし、同年度末までの叙述は、市場環境や競合他社に対する目配りが不足しており、住友の経営を当時の経済史・経営史の中に位置づけることができていなかった。上記3本の論文計画は、このような課題を解決しようとする試みである。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由は、新年度(2023年度)にかけて所属機関の変更が決定したため、新しい研究室の状況が判明し、研究室の引っ越しが行われるまで、大型の機材(プリンター、コンピューター等)の買い控えをすることを決めたためである。現時点(2023年5月時点)では新研究室への引っ越しを済ませたが、大型の機材の購入を控えた結果として引っ越し費用を大きく抑えることができた。同じく、所属機関の変更が決定したために、データ入力の人員をアルバイトとして雇いながら、当該業務に適した能力を長期的(1年以上かけて)に育成することが困難となった。そのため、人件費の執行がなくなり、次年度使用額が大きくなった。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、機材の購入による物品費の使用を再開することによって、申請者本人のための機材と合わせて補助業務を行う人員のための機材を揃え、物品費と人件費の執行を進めていきたい。
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Research Products
(4 results)