2022 Fiscal Year Research-status Report
An exploratory study of the integration processes of internal and external internationalization that enable the internationalization of non-profit organizations
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22K13447
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
野口 寛樹 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (70735951)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非営利組織(NPO,NGO,CSO) / 国際化 / サービス貿易 / サービス貿易に関する一般協定(GATS) / サービス供給の4モード / NGOデータブック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,NPOの国際化プロセスの解明を目的に,サービスの貿易に関する一般協定(以下,GATS)の議論を使用し,サービス貿易の視点をNPOの国際的なサービス供給に導入し,分析を行った。 経営学における既存研究では,国際化に関わる活動について,製造業を中心とした議論をサービス業へと敷延させ,分析を行う研究が散見される。しかし,それではNPOが主に行うサービス供給,加えてNPOの特殊性を鑑みた国際化について不足する点が出てくる。そのため,本年度では,GATSの議論を前提に NPOの国際化に関わり分析を行った。 具体的には,『NGOデータブック』(JANIC (NGO活動推進センター,(特活)国際協力NGO センター), 1994, 1996, 1998, 2006, 2011, 2016, 2022)を用い,日本におけるNPOの国際化について,時系列的な変化,またサービス貿易の視点からそのサービス提供内容を分類し,新たな視角を提供した。 結論としては,GATTの枠組みにおける供給の4モードを元にすれば(供給モード1:越境取引,供給モード2:海外における消費,供給モード3:拠点の設置,供給モード4:自然人の移動),既存の経営学の議論は,供給モード3の議論に偏っており,NPOにおけるサービス提供を考える中では,供給モード2への注目の必要性(日本国内におけるサービス提供,つまり内的国際化)を指摘した。また,GATTの枠組みにはない第5の供給モード,クライアントに直接的なサービス提供を行うわけではないが間接的な効果をもたらす,国際的なNPO間のネットワーク形成,また自国内,現地国でのアドボカシー活動,をNPOにしかない特殊な供給モードである事を議論した。 NPOの国際化を考える中では,以上の供給モードを統合した,国際化プロセス分析の必要性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,NPOの国際化に関してのデータからその特徴,また活動内容がわかった。そして文献調査から,その議論の偏り,また研究蓄積の少なさがわかった。加えてGATTにおけるサービス貿易の視点を用いたことで,NPOのサービス供給の分類が可能となった。それは,製造業の議論を元にした供給モード3の議論のみではなく,特に供給モード2を含めた,サービス提供を元に考える国際化プロセスの精緻化が可能となったことを意味する。 計画したような特定のNPO団体へのインタビュー調査は行えていないが,『NGOデータブック』を活用した開発協力に携わるNPO(NGO)の全体像把握,また供給モードからの考察ができた。そのため,おおむね順調に進展している,と判断した。また以上の知見は,紀要における掲載という形で公表をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は3つの視角から分析を進める。 まず,昨年度を引継ぎ,日本におけるNPOの分析である。『NGOデータブック』の元となる,『NGOダイレクトリー』の既刊は取得済みなため,以上のデータ入力,また分析を行う。つづいて,同じ分析をスウェーデンのNPOについても行いたい。CONCORD Sweden 等からのデータを取得しつつ,その全体像に迫りたい。最後に,日本,スウェーデン両国において特徴的なNPO団体に対してその国際化プロセスに関するインタビュー調査を実施したい。以上から日本,スウェーデンに関する比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度サバチカル取得に関わり,受け入れ先における施設使用料の発生,またウクライナ侵攻に関わる,航空チケットの高騰に関わり,慎重に使用をしたところ,次年度使用額が発生してしまった。次年度のスウェーデン国内調査における予算として充当したい。
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Research Products
(1 results)