2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the impact of pre-merger stakeholder structures on merger processes and integration effects
Project/Area Number |
22K13484
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高田 真也 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (80830455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 合併・買収 / ステークホルダー / デューデリジェンス / PMI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ステークホルダーが合併にどのように影響を与えたかについて、はじめにステークホルダーの構造上の特徴(例えば取引先や取引銀行が共通しているといった場合や親子関係があり共通の取引銀行があるといった複合的な関係に特に着目する)が1998年までの合併にどのように影響していたかを分析し、モデル化したのちに、次にその意義について合併プロセスの違いに着目して深堀するととともに今日の多様なM&Aに適用して分析を拡張する。
初年度は、1998年までの合併の構造の影響に関する分析までを終了し、論文投稿を終えた。この研究の中で合併後の総資産回転率やROAに対し、資本関係や共通取引銀行など一つの機能による関係(単独の関係)だけでなく、取引先や取引銀行など複数のステークホルダーからの情報(複合情報)や、親会社が資本関係を持ち取引関係を持つなど複数の組み合わさった関係(複合関係)についても変数に加えて、階層的重回帰分析を行い、これらの変数について有意な結果を得た。
ただ合併企業のステークホルダーの影響が当初考えていたポジティブなものだけではなく、ネガティブなものも出てきたこと、合併プロセスによってもその影響が異なると考えたことから、合併プロセスに分解して、その影響を検証することにした。特にステークホルダーの情報やコミットメントが合併にどのように影響するかに着目してアンケート調査を行った。この結果は学会で報告したが、論文化はまだ未着手である。その他、役員に関する分析はまだ未着手である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究概要に示したように今年度は合併企業のステークホルダー構造の分析については終了することができたが、投稿に時間がかかり分析も複数回行ったために思いのほか時間を要した。ただ、最終的に合併の成果に関する分析については修正投稿を終えることができた。一方、近年のM&Aに関する分析や役員に関する分析は未着手となっており、次年度に課題を残した。本年はこうした課題について着手し、学会報告ないし論文化まで進めたい。また、合併プロセスについてステークホルダーが関与した意義についての研究は、デューデリジェンスに着目したアンケートを行い、学会発表を行ったがまだ論文化には至っていない。これらの研究については今年度論文にする計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年未着手であった最近のM&Aの分析や役員に関する分析について先行研究も含めた分析を行うとともに、昨年アンケートを行ったステークホルダーがM&Aプロセスに関与する分析についても論文化を行いたい。特に昨年行った分析により複合的な関係が成果に対してネガティブな影響を持つ結果が得られたが、これは従来研究とは異なった結果であり仮説を見直すことで、新たな知見を提供できると考えている。その際に、合併プロセスに分解して考えることや、単独の関係とあわせて検証し、それを最近のM&Aをサンプルとした分析に拡張することでより汎用性のある結論を導けれるものと考えており、今年度は本格的にそうした分析に取り組みたい。また役員分析については質的比較分析など新たな分析方法も試してみたい。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究の進捗が遅れ、十分支出できなかったため、次年度に持ち越したい。
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