2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13500
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
的場 匡亮 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (50608669)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 価値共創 / 患者経験価値 / 患者・市民参画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療における医療機関と患者の価値共創プロセスや、組織体制、価値共創によってもたらされる成果について検討することである。この目的を達成するため、(1)患者エンゲージメントの文献レビュー、事例調査、(2)患者との価値共創の成果の調査という2つの課題を設定している。 2年目となる令和5年度は、前年度に実施した文献レビューより、患者エンゲージメントや患者・市民参画が医療機関の経営や質改善に与える影響について、レビューを実施することとして準備を進めた。レビューの結果に基づき、患者視点でのコミュニケーション事例ならびに、日本における患者参画の取り組みを紹介する学会発表を行うとともに、総説を1編投稿した。 また、文献調査ではイギリスNHSによる「Working in partnership with people and communities: Statutory guidance」に着目をした。これは、患者・市民のNHSへの参画を様々な視点から取りまとめ、促進するためのガイダンスとなっており、これらの視点は日本国内の状況を検討する上で大いに参考となる。また、さらなる文献のレビューや日本における患者エンゲージメントの状況を検討する研究体制を構築するため、所属をする日本医療・病院管理学会の認定研究会制度を活用し、同様の関心を持つ研究者との研究グループを立ち上げた。今後はグループとも協働しながら、医療機関における患者との価値共創について幅広い視点で検討をすすめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者エンゲージメントに関連した概念として、医療政策や、医学研究・臨床試験の分野で幅広く実施されている患者市民参画(Patient Public Involvement)を研究のスコープに含めることとし、今年度は2度の学会発表と1本の総説投稿ができた。 一方で、先行的な研究を実施する研究者や同様の関心を持つ研究者との意見交換を通じ、研究グループの立ち上げることとした。今後は、グループとも連携し、より充実した研究を進める予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の医療機関における患者エンゲージメントの実施状況についての研究を継続する。イギリスのNHSでは「Working in partnership with people and communities: Statutory guidance」を定め、患者、市民との様々な協働形態のあり方を取りまとめている。日本国内においても、例えば自治体等が運営する病院における事業計画の策定にあたってのパブリックコメント募集などがなされている実情がある。こうした取り組みに関する法的な根拠、実例について調査、研究を進め、成果へとつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
実施予定としていた実証研究の協力医療機関への訪問旅費を請求していたが、レビューを中心に進めたため、執行がなかった。今後、研究グループでの打合せや、PPI実施の医療機関への訪問調査に充てたいと考えている。
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