2023 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンサーマーケティングにおける商業的意図の曖昧性が消費者不信に及ぼす影響
Project/Area Number |
22K13503
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Research Institution | Yokohama College of Commerce |
Principal Investigator |
渋瀬 雅彦 横浜商科大学, 商学部, 准教授 (00906539)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インフルエンサー / 商業的意図 / SNS / 説得知識 / 関与 / Instagram |
Outline of Annual Research Achievements |
23年度の研究活動においては、23年3月頃に決定した「ステマ規制に関する景品表示法適用」により、これまでのガイドラインの改訂が行われることとなり、23年10月までの施行までに、現状研究の前提条件が変化する懸念があったため、データ収集などを行うことができなかった。 その前提の中での23年度の研究実績としては主に以下2点である。 第一に、22年度に実施した調査結果を、日本商業学会の第72回全国研究大会において「Instagramにおける商業的意図開示が消費者に及ぼす影響」と題して発表を行ったことである(場所:沖縄国際大学、https://jsmd.jp/lib/files/conference/conf-info/073_program_230522.pdf)。関与の高低に応じて投稿内容に対する説得知識の度合いが異なることを示し、興味深い結果であった。質問者よりシナリオ設定方法や先行研究の理解に関する課題を提示され、今後の研究の方向性について大いに参考となった。 第二に、MISCとして日経広告研究所がデジタル配信している分析レポートにおいて「ステマ規制に伴うインフルエンサーマーケティングの活用方法」について執筆して、デジタル公開されたことである。ステマ規制については実務的な関心が強いことが感じられており、公開後にいくつかの企業から問い合わせを受けた。 本研究からは傍流となるが、本研究で理論的根拠に含めた説得知識理論を用いたパーソナライズド広告に適用した研究論文を公表しており、日本プロモーショナル・マーケティング学会より学会賞を24年2月に受賞している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年3月頃に「ステマ規制に関する景品表示法適用」が決定して、同年10月より施行されることとなった。このために、景品表示法第5条3号がインフルエンサーマーケティングにおける商業的意図の開示が法的に規制されることなった。同年度初頭の段階では、ガイドラインがどのように変更されるかが未定であったこと、および、施行以降もどのような課題が生じてくるかが不明であった。このために、23年度のデータ収集は行わずに、24年度に行うこととした。このために、本研究の進捗は「やや遅れている」としている。
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Strategy for Future Research Activity |
延長後の24年度は、ステマ規制施行後のインフルエンサーマーケティングの実状を捉えたうえで、早急にデータ収集と分析を行い、さらなる研究成果を高めていく予定である。具体的には、まず関与が商業的意図開示にどのように作用しているかを情報源・投稿内容の別に応じて実験調査を行っていく。24年4月末より調査を進めており、分析結果は、経営情報学会などに投稿予定である。次に、情報源の分類と商業的意図開示の影響についての研究を夏以降に行っていく予定である。これまでの先行研究より、メガ・マクロ・マイクロなどの情報源を構成する要素として、パラソーシャルリレーションがあり、こうした要素を実験に明示的に組み込み検証を進めていく予定である。また、研究成果の公表については、日本消費者行動研究学会のカンファレンス(24年5月)、日本リテンションマーケティング協会でのセミナー(24年6月)において発表予定である。ステマ規制に関する実務的な関心は高く、これまでの研究成果を適用する機会と考えて、積極的に提言を行いたい。その他に、上記の研究について海外ジャーナルへの投稿も検討しているため、英論文への翻訳を行っていくことも検討している。
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Causes of Carryover |
23年度の研究活動においては、23年3月頃に決定した「ステマ規制に関する景品表示法適用」により、これまでのガイドラインの改訂が行われることとなり、23年10月までの施行までに、現状研究の前提条件が変化する懸念があったため、データ収集などを行うことができなかった。このため、1年の研究期間の延長を申し出て、承認を頂いている。
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