2022 Fiscal Year Research-status Report
An exploratory study of inter-organizational management accounting in a transitional business model
Project/Area Number |
22K13515
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
井上 慶太 東京経済大学, 経営学部, 講師 (70825158)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組織間管理会計 / マネジメント・コントロール / ビジネスモデル / サービス化 / ソリューション / デジタル技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日の製造業で,製品ライフサイクルにおける顧客の支援サービスを通じた収益源の確保が重要な経営課題になっている。企業にはサービス化への対応が求められるとともに,顧客が使用する設備機器のコンサルティングなど長期的なソリューション提供を行ううえで,顧客とのタイムリーな情報共有をはじめ,緊密なパートナーシップが求められている。しかし,管理会計研究では,純粋な製品中心のビジネスモデルを想定する傾向が依然として強い。そのため,サービスを軸とした新たなビジネスモデルを対象に,顧客との取引から安定した企業業績を達成するため管理会計がどのように実施されるのかについて,理解が不足している。そこで本研究では,転換期のビジネスモデルにおいて,顧客との連携により収益性を高めるため利用される管理会計を明らかにすることを目的とする。 2022年度は,会計学およびサービス化のテーマを扱った隣接分野(経営学,マーケティング,オペレーションズ・マネジメント)の文献に関するレビューを行った。その結果,サービス化戦略には製品重視,サービス重視という2つのタイプがあり,タイプの違いに応じたコストマネジメントなどの管理会計技法が重要であること,そして企業がとるサービス化戦略の内容は変化していくことに注意したダイナミックな分析の視点が必要であることが明らかになった。この他,関連するトピックとして,デジタル技術(クラウドサービスなど)を活用した管理会計の可能性についても議論を行った。これらの研究活動により,本プロジェクトで対象とする転換期のビジネスモデルにおける管理会計の役割,課題をさらに解明していくための土台となる枠組みを構築できた。研究成果について,学会での発表,学術雑誌への論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の文献調査において,デジタル技術に関する議論など計画時点で十分に把握できていなかった文献が多数あることがわかった。そこで,予定していたインタビューなどの調査の時間を文献調査の時間へと変更した。この部分は当初の計画とは異なるものの,本年度の活動を通じて研究課題を多角的に捉えるための知見が蓄積できた。そのため,研究全体としては前進していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,2022年度に続いて会計学および隣接分野の関連文献を対象としたレビューを行う。次に,当該分野について熟知する研究者,実務者からの協力を得てインタビューなどの調査を行い,研究枠組みの改善を進める。これらの調査で得た情報を基に学会や研究会での研究報告を行う。研究成果については,学術雑誌で論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
文献調査において追加のレビューが必要となり,当初予定していた現地訪問によるインタビューなどのスケジュールを見直した。その分の旅費,インタビューのテープ起こしやデータ分析にかかる費用が支出できなかった。そのために当該使用額が生じた。 次年度においては,研究成果の一部について学会・研究会で発表を予定している。論文の準備にあたり,図書や資料(電子データを含む)の購入ないし複写,データの管理と分析に必要なソフトウェアとサービス利用にかかる費用を支出する予定である。また,英語による研究成果の発表も計画しており,英文校正やテープ起こしのための費用を支出する予定である。なお,企業への調査,学会・研究会での研究発表においてオンラインツールを使う場面が増えており,安定した通信環境を確保するための通信サービスの利用,電子機器の購入,データベースの利用にかかわる費用が必要である。さらに,学術論文の刊行にあたり印刷代などの費用が必要である。
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Research Products
(6 results)