2022 Fiscal Year Research-status Report
A Research on Diagnosis, Impact, and Correction of Measurement Error in Social Surveys
Project/Area Number |
22K13525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (90807835)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 測定誤差 / 因果推論 / ベイズ統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会調査における測定誤差は,1)母集団から標本を抽出する際に偶然生じる誤差,2)「分析者が測定したい項目」と「実際に測定された調査対象者の回答項目」の間の誤差,の2種類がある.1)の測定誤差は,母集団が明確に定義されていれば標本との誤差が計算できるため,誤差の影響は計算でき,また補正も比較的容易である.本研究で主に扱うのは2)の測定誤差であり,通常の社会調査ではこうした誤差がないものと仮定されているが,実際には多くの項目で測定誤差が生じている.
一般的なデータ分析では,社会調査によっ て測定された項目に測定誤差が生じていると仮定していない,例えば,社会調査ではしばしば賃金や年収を尋ねており,当然調査主体は正確かつ真の対象者の賃金や年収を測定したい.しかし ながら,様々な理由によって,調査対象者は賃金や年収の真の値を回答しないことがある.これが測定誤差である.2022年度は,社会調査において測定誤差が生じているのかについて分析をおこなった.具体的には,東京大学社会科学研究所が実施している東大社研パネル調査データを用いて,どのような調査項目に,どの程度の測定誤差が生じているのかを明らかにした.測定誤差を識別する方法は大久保(2020)に基づく.この方法はHalpern-Manners et al. (2017) を修正したものであり,かつ因果推論の枠組みに基づいた識別仮定および研究デザインである.主な分析結果としては,センシティブな意識項目,資産項目,デモグラフィック項目等で測定誤差が生じていることが明らかとなった.
また,測定誤差が生じるメカニズムとしては,社会的望ましさによるタテマエの回答,調査主体への不信感による虚偽の回答,回答コスト削減のための不正確な回答等が予想される.測定誤差のメカニズム分析については次年度以降の課題となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,2022年度は「測定誤差は生じているのか」を明らかにするために,データを整備し分析することであった.上記のようにこの目的は達成されたため,研究の進捗としてはおおむね順調に進展していると判断して良いだろう.
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Strategy for Future Research Activity |
他の社会調査データを用いて,測定誤差がどの程度生じているのかを明らかにすると同時に,調査間で測定誤差のバラツキがどの程度あるのかを明らかにする.また,測定誤差が生じるメカニズムについての分析に着手する.具体的には,どのようなメカニズムで測定誤差が生じているのかについて,独自の社会調査を用いて明らかにする.例えば,社会的望ましさによるタテマエの回答をしている項目については,社会的望ましさの意識を軽減するようなインストラクションを添えた調査票を作成し,調査票の改善によって測定誤差がどの程度改善されるのかを評価する.
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Causes of Carryover |
対面で開催される予定であった学会や研究会がオンライン開催となり,旅費が不要となったため.
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Research Products
(2 results)