2022 Fiscal Year Research-status Report
新しい生活・労働様式と従業員のWell-beingに関する研究
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22K13530
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 美奈子 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (90424259)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Well-being / 健康経営 / 健康観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たな生活・労働様式の中で従業員のWell-beingを高める要因や行動について明らかにすることが目的である。2022年度は、「企業の特色や健康経営、CSR等での健康づくり活動の現状分析」とともに、コロナ禍での従業員の働き方の現状や、変化等について企業(メーカー)の産業医、産業保健師などのヒアリングから情報収集を行った。 その結果、健康経営に対する認知や実践はあっても、現実としては検診の推進や感染症対策、メンタルヘルス対策を中心とした、疾病管理や支援が中心であることが示唆された。企業側としても長引コロナ禍の現状から、ポジティブヘルスの発想により、できる活動等を模索して展開していたが、やはりイベントなどの集団でのアプローチは制限があり、健康経営の展開に困難を抱いている企業や事業所が多い現状が明らかとなった。 一方で、リモートワークの推奨から家庭内での仕事と生活とのバランスについて「家族でのコミュニケーションが増えた」というプラス面とともに、仕事と家庭(公私)の区別がつきづらく、効率的実施できない業務が明確になるなど、マイナス面も示された。さらに、感染症対策の影響から、コミュニケーション不足から生じるメンタルヘルスの問題や、新入社員に対する教育の困難さなどの課題が示された。 また、健康に対する考え方・捉え方となる「健康観」については、「病気がないこと」のみならず「前向きに生きること」「幸せなこと」「家庭円満であること」など、精神的・社会的健康観の多様性もみられる傾向がある。 健康経営の実態については、業種や規模による現状の違いや課題が異なっており、今後も領域を増やしたヒアリングの必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりも、ヒアリングの機会や情報収集の機会が少なく、今後の研究における分析や考察のためには、もう少し継続した質的研究活動が必要であると判断した。 そのため、少し遅れている状況ではあるが、今後の調査に向けた準備段階においても、引き続きヒアリングや情報収集の機会を設けると共に、学会等での発表に向けて準備をしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より実際の調査に向け、調査対象となる企業との調整を進めていく予定である。 前述の通り、健康経営の実態や健康づくり活動の現状分析の継続をするとともに、調査対象となる企業の業種選択や、調査時期、webアンケートの実施体制等について検討していく。 さらに、5月から新型コロナが5類感染症に引き下げとなったことによる「アフターコロナ」への移行により、働き方や健康経営活動の更なる変化が示唆される。 そのため、変化の経緯を分析する等、研究計画の一部変更(発展的変更)も視野に検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では学会がオンラインでの参加となり、専門からの情報収集に関してもリモートや、組織委員会(研究会等)の範囲で可能であるなど、予定とは異なった予算使用となったため余裕が生じている。 次年度は引き続き情報収集作業に予算を活用すると共に、新型コロナが5類感染症に移行したことによる環境の変化を鑑み、インターネット調査等での予備調査(アンケート)を実施する予定である。
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