2023 Fiscal Year Research-status Report
日米における米軍基地をめぐる言説ネットワークの翻訳プロセスの社会学
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22K13531
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
森 啓輔 専修大学, 経済学部, 准教授 (30808308)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 言説ネットワーク / 安全保障 / 社会運動 / 基地建設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2010年以降の沖縄をめぐる米軍基地問題の言説を、日米の安全保障政策や経済政策言説および、それに対抗する諸言説の同時代的連関として、政治社 会学的に明らかにするものである。そこでは、1)基地問題の「日本本土」と「沖縄」を分断する2010年以降の政治的分極化問題を補足しながら、2)基地問題を めぐる英語圏言説の不可視化――すなわち、米国による同時代の具体的な海外基地立地政策を巡る言説の日本国内における流通の抑制――を通して、国内におけ る政治的分極化が成立するという仮説に沿って検証される。 そのような試みは、現在における中央政府と地方政府の政治・社会的分極化状況を、言説流通の選別を通した、「日本本土」と「沖縄」という政治的主体の固 定化の主要条件として、実証的および理論的に解明するものである。 本年度は、日本における在日米軍基地の建設問題と社会運動に関する言説分析を中心とし、主として沖縄の基地問題をめぐる新聞媒体とSNSを中心に研究を行った。研究を進めるうちに、新聞媒体における言説とSNSの言説のフレームの差異が際立った形で見られることが明らかとなった。 また、メディア分析の母集団規定の限界がある一方で、これを代替する広範なアクターをカバーするメディアがない状況で、どのようにして米軍基地をめぐる国内紛争のアクターを質的・量的に析出するのかについて工夫するなかで、新聞言説からアクターを抽出する方法論を実装し、分析を行った。質的な水準で言説のトピックを確定しながらも、他方で量的な分析も可能となる水準で言説ネットワークを分析した。本年語は、本研究に関連する学会報告を3回、著書と論文を2本提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに実行されている。最終年度に向けて、全体的な総括を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、日本語圏と英語圏の言説ネットワークの接合可能性について考察し、まとめる。
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Causes of Carryover |
計画通りの拠出を進めたが、7,602円という少額の誤差が生じた。他方、計画と実施の間にそれほどの誤差は生じていないと考える。
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