• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

笑いをめぐる社会規範の変容:テレビにおける漫才の通時的分析をつうじて

Research Project

Project/Area Number 22K13550
Research InstitutionSeijo University

Principal Investigator

塙 幸枝  成城大学, 文芸学部, 専任講師 (10823213)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords笑い / 漫才 / 社会規範 / テレビ / コミュニケーション
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、「テレビにおける漫才の通時的分析をつうじて、笑いをめぐる社会規範の変容を明らかにする」という目的のもと、三つの課題――課題①:漫才の社会的な機能とは何かを検討する、課題②:テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する、課題③:笑いのコンテクストは社会規範とのつながりのなかでどう捉えられうるか、漫才を対象に考察する――を立てている。このうち2022年度は課題①について文献調査を中心におこなった。とくに、漫才に関する歴史資料を調査し、それが祝祭行事から演芸文化へと発展するなかで、世相の反映といった社会的機能を帯びてきた経緯を整理した。
しかし、資料の分析調査を進めるなかで、上記した課題①と課題②が不可分に結びついていることが理解されたため、2022年度の研究には課題②に関する内容も含んだ。具体的には、戦後の昭和漫才のうち「ぼやき漫才」と呼ばれるジャンルに着目し、それがテレビメディアの介入との関係のなかで担いえた社会的機能を考察した。また、演芸作家へのインタビューもおこなった。これらについては「戦後『ぼやき漫才』と社会規範―当時の視点/現在の視点からの分析―」と題した論文にまとめ、『日本コミュニケーション研究』への掲載が決定している。
同様に課題②にかかる研究内容として、「NHK番組アーカイブス学術利用トライアル2022年度後期」の採択を受けて、漫才を扱ったテレビ番組の調査分析を実施した。具体的には、「『バラエティー生活笑百科』における漫才の機能―漫才が伝達する法と規範―」と題した調査課題を設定し、漫才が描くテーマや社会規範を通時的に検討した。
以上の状況をふまえ、2023年度の研究では課題②における未着手の範囲に取り組むことを予定している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度の研究では、本研究の三つの課題――課題①:漫才の社会的な機能とは何かを検討する、課題②:テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する、課題③:笑いのコンテクストは社会規範とのつながりのなかでどう捉えられうるか、漫才を対象に考察する――のうち、当初の計画に沿って課題①を概ね計画どおり遂行することができた。しかし、漫才の歴史資料についてはさらなる文献調査を実施する必要があると考えている。また、漫才を含む笑い全般の先行研究については、より包括的な文献調査と整理が必要となる。
他方で、「研究実績の概要」に既述したように、本年度は2023年度に実施を計画していた課題②に関する内容を含む結果となった。計画を前倒しできた点については肯定的に受けとめつつ、研究計画が多少前後したことも含め、2022年度の進捗状況は「概ね順調に進展している」といえる。

Strategy for Future Research Activity

2023年度の研究では、本研究の三つの課題――課題①:漫才の社会的な機能とは何かを検討する、課題②:テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する、課題③:笑いのコンテクストは社会規範とのつながりのなかでどう捉えられうるか、漫才を対象に考察する――のうち、課題②についての分析を進める。ここでは、「テレビにおいて許容される笑い/テレビにおいてタブー視される笑いの領域はどのように変化してきたのか、漫才を対象に分析する」ために、現在放送中のテレビ番組や過去の放送データを対象に分析をおこなう。
既述のように課題②にかかる範疇において、いくつかの題材についてはすでに分析の取り組みを開始しているが、2023年度はテレビ放送開始以降の映像資料を保存しているアーカイブ施設(放送ライブラリー、国立国会図書館、大阪府立上方演芸資料館ワッハ上方)を利用して、より広範に漫才映像の質的な表象分析をおこなう予定である。また分析した複数のネタや番組を体系的に整理し、通時的な変遷を明らかにする。ここでの調査結果を前提としながら、2024年度には、テレビにおける漫才の通時的な変遷を当時の社会背景と照合しながら考察する予定である。

Causes of Carryover

2022年度は新型コロナ感染症にともなう出張先および出張時期の調整などをおこなったため、当初使用を計画していた旅費については2023年度に使用する。また、「研究実施の概要」に示した通り、2022年度に実施しきれなかった文献調査に関する費用についても2023年中に使用する。さらに研究に必要な機器(スキャナー等)も2023年度に購入する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 戦後「ぼやき漫才」と社会規範:当時の視点/現在の視点からの分析2023

    • Author(s)
      塙幸枝
    • Journal Title

      日本コミュニケーション研究

      Volume: 第52巻第1号 Pages: -

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 戦後「ぼやき漫才」と社会規範:当時の視点/現在の視点からの分析2022

    • Author(s)
      塙幸枝
    • Organizer
      日本コミュニケーション学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi