2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢精神障害者の老いと死への支援を可能にする機関協働モデルの構築
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22K13563
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中越 章乃 (中越章乃) 東海大学, 健康学部, 特任講師 (30641526)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢精神障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域で暮らす高齢精神障害者に対しては、精神科医療や精神障害者支援、高齢者支援、終末期ケアを専門とする関係機関が支援をおこなうことになる。精神疾患や精神障害に対する関係機関の理解不足や現場での対応困難等の理由により、高齢精神障害者は身体管理を目的としていても精神科病院に入院し、身体的ケアや時には終末期ケアも受けることも多い。本研究では、高齢精神障害者に対して提供される老いや死に向きあうための支援の実際を明らかにするとともに、それらの支援を提供するために求められる関係機関間の協働モデルを構築する。 2022年度には高齢精神障害者の生活支援と老いや死に関するケアに十分な経験のある調査対象者に対してインタビュー調査を実施し、支援や他機関との協働の状況について確認をおこなった。また、今後の質問紙調査をおこなう上での留意点や調査項目に対する意見を収集した。インタビュー調査からは、精神科病院や精神科診療所が、他の関係機関や身体疾患専門機関との十分な協働なしに治療や支援を担っている実態が見られた。また、民生委員や不動産業者等も巻き込みながらの支援は望ましいと考えられるものの、多機関をコーディネートするためには、豊富な経験やチーム構築ができるキーパーソンとなる支援者が必要であることなどが示唆された。 今後、精神科病院、(精神科)訪問看護事業所、地域包括支援センター、相談支援事業所のスタッフに対して質問紙調査を実施する。調査を通して在宅高齢精神障害者に対する支援内容と課題を把握するとともに、複数機関の協働の実態について情報収集し、在宅高齢精神障害者に対する支援内容と課題の把握、関係機関の協働の在り方を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度のインタビュー調査では調査対象者数は少ないものの、調査対象者の立場から現状について豊富に情報や意見を収集した。それらの結果を踏まえて質問紙調査の準備を進めているところである。当初の計画では、2022年度から2023年度にかけて質問紙調査を実施する予定であったが、インタビュー調査の遅れにより質問紙調査の実施についてもやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は昨年度実施したインタビュー調査の結果をもとに質問紙調査の準備を進めている。今後、調査対象機関の抽出をおこなうとともに、調査項目を確定し、質問紙の印刷、発送をおこない。調査対象機関から回答を収集する。2024年度にかけて集計、分析をおこなう。
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Causes of Carryover |
2022年度に実施したインタビュー調査に関しては、当初は調査対象者のもとに訪問して対面で実施することを計画していた。しかし、新型コロナウィルス感染症の感染拡大が続いていることから、医療機関や福祉施設で勤務する調査対象者の接触は避け、zoomによる遠隔でのインタビュー実施とした。そのため、旅費として請求した助成金に余剰分が出たものである。 2023年度以降は、精神科病院、精神科訪問看護事業所、訪問看護事業所、地域包括支援センター、相談支援事業所のスタッフ200名程度に対して質問紙調査をおこなうため、質問紙の印刷費や郵送費として助成金を使用する。また、質問紙調査で得られた結果から10か所程度のグッドプラクティス機関を選出し、インタビュー調査を実施することとしており、その際の旅費や謝金として使用する予定である。
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