2022 Fiscal Year Research-status Report
介護離職の要因分析に基づく包括的な支援システムの構築
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22K13564
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
張 梦瑶 東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (50906659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家族介護者支援 / 介護離職者支援 / 介護離職防止 / EUにおける仕事と介護の両立支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、介護のために離職・転職した家族介護者を取り巻く問題の現状と、そのような家族介護者への支援のあり方について、国内外における先行研究の知見を整理し、その結論に基づいて、インタビュー調査の方向性および具体的な内容について検討した。 EU諸国の文献を中心に、仕事と介護の両立に関する知見を整理することで、働く介護者の現状と課題を明らかにし、仕事と介護の関係を理論的枠組みに基づいて分析を行った。EU諸国の介護者支援に関する制度や政策を踏まえ、介護者の離職を防ぐための支援策を探るため、約70件の文献をリストアップし、検討した結果、EU諸国では、働く介護者の現状や課題を踏まえ、仕事と介護の両立を支援するための支援策がある一方で、有効活用されていない課題も見受けられた。介護者の離職を防ぐためには、介護の負担を軽減するための正式なサービスの提供だけでなく、介護者が働き続けられるような雇用政策の充実が必要である。例えば、介護者の離職を防ぐための施策として、雇用主が介護者支援のメリットを認識することが重要であると指摘されている。現在、介護者支援に取り組んでいる中小企業は少なく、これらの企業に介護者が必要とする支援に関する情報を提供し、より効果的な支援を行うよう促すことが必要である。なお、上記の成果は、ライフデザイン学部紀要18号の研究ノート「EUにおける仕事と介護の両立支援に関する研究動向と課題」に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の当初計画では、介護離職した家族介護者の状況や効果的な支援方法を明らかにするため、先行研究の結果を踏まえ、介護支援専門員へのインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面でのインタビュー調査の実施が困難となり、研究計画の変更を余儀なくされた。 そこで、昨年度の研究成果を発展させる内容で、日本での先行研究に加えて、諸外国における仕事と介護の両立支援に関する現状と課題の文献を収集し、分析したことである。 なお、2023年度4月現在、新型コロナウイルス感染症による行動制限を緩和のする取り組みを進めることを受け調査にご協力いただける介護支援専門員の方と日程調整を行った上で、今月中にインタビュー調査を実施する予定である。しかし現時点では十分な協力者の人数が集まっているとはいえず、またデータの分析に取り掛かれていないことから、本研究課題の進捗状況は当初の計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の前半までに、現在実施している介護支援専門員へのインタビュー調査を終え、年度後半までに分析を実施し、関連学会での発表および論文としてまとめる予定である。 また、調査にご協力いただける介護支援専門員を通じて、介護のために離職または転職した家族介護者ご本人に対しても調査への協力を依頼し、介護離職の原因を明らかにするうえで、当事者の視点から効果的な支援方法について分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査が2023年度となったため、当初予定していた人件費・謝金の使用が繰り越され、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)