2022 Fiscal Year Research-status Report
若年介護者が介護を担うことで変化した人生を再構築するプロセスと支援モデルの研究
Project/Area Number |
22K13571
|
Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
武田 卓也 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (40517116)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 若年介護者 / ヤング・アダルト・ケアラー / 介護 / 人生の再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
介護は一般的に高齢者の介護問題と強調されることで、高齢期や中年期以降の家族が担うと認識されている。しかし、その陰に隠れ社会から見逃されている介護問題がある。それが18歳以上30代までの若年介護者(ヤング・アダルト・ケアラー:以下若年介護者と記す)の介護問題である。若年介護者は家族に介護責任や役割が回帰する中で、本来介護を担う世代を飛び越えて介護責任や役割を負うため、介護と自らの人生にジレンマを抱えながら生活をしていると考える。そこで、令和4年度は若年介護者(元若年介護者)に対して、介護を担うことによって社会生活や人生に与える影響と、若年介護者(元若年介護者)が介護によって一度崩れた社会生活や人生をどのように再構築してきたのかについて、対面による個別面接の形式で6名にインタビュー調査を実施した。現状ではインタビュー調査は途中段階であるが、調査の経過において現時点で見えてきたことがある。若年介護者(元若年介護者)が介護を担うことによって社会生活や人生に与える影響は多様であり、個別性が高く、介護を必要とする人の状態や状況などや、若年介護者(元若年介護者)自身を取り巻く環境が少なからず影響を与えていることが伺えた。また、若年介護者(元若年介護者)が自身の生活と介護を必要とする人の生活をどのように捉え、重ね合わせているかも影響している可能性があることも伺えた。加えて、若年介護者(元若年介護者)が担う介護は、介護経験が予測と対応力を高め、必要な時に必要な支援があれば介護を担いながらでも自らの人生を描き前に向かって歩める人がいる反面、その時々の対処療法的な支援に加え、将来の人生を描くための支援が必要な人もいることが伺えた。本年度の調査から伺えた傾向を含めて、引き続き調査を継続する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は、対面による個別面接形式で6名に対してのインタビュー調査を実施した。しかし、コロナウイルスの影響により対面による個別面接形式でのインタビュー調査を予定どおり進めることができず、実施できない場合もあった。その影響により全体的な分析が遅れている。そのため次年度も引き続き対面による個別面接形式でのインタビュー調査を実施し、分析を進める必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
若年介護者(元若年介護者)へのインタビュー調査を継続して実施し、令和5年度末までには調査を終えることを目指すとともに、分析を並行して実施する。また、若年介護者の支援団体や機関等に対してもインタビュー調査を実施し、支援団体や機関等による若年介護者の社会生活や人生の再構築に向けた支援について聞き取りを実施していきたい。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響によりインタビュー調査が実施できず、計画よりも調査件数が減じたことから次年度使用額が生じた。次年度は調査対象者の見直しを行い、インタビュー調査を継続して実施する。
|
Remarks |
武田卓也「若年介護者が人生を再構築するプロセス」地域ケアリング,2023 Vol25 No2 52-53
|