2023 Fiscal Year Research-status Report
生活場面に共通するバリアフリー接遇のサービス構造および影響要因の解明
Project/Area Number |
22K13586
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
大部 令絵 日本社会事業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00725658)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バリアフリー接遇 / 観光 / 合理的配慮 / 障害理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、サービスの個別性の程度やサービス内容の決定者が異なる様々な分野において、バリアフリー接遇の構造がどのような構成要素により表されるのか、それらの構成要素に影響する要因として何が挙げられるのかを検討し、サービス分野を超えた接遇の構造・影響要因の共通点を明らかにすることである。本研究を通じ、生活場面にシームレスで望ましい接遇のあり方を理論化するとともに、多様な生活場面の接遇の質向上に寄与する具体策を検討するための基礎知見を得ることを目指している。 2023年度に実施した研究は、観光におけるバリアフリー接遇のサービス構造の検討(研究2)である。具体的には、直近1年間で観光した経験を有する、バリアフリー接遇を要する人を対象とした半構造化面接調査を行い、実際に受けたバリアフリー接遇、観光におけるバリアフリー接遇上の問題点等を明らかにした。分析の結果、研究協力者は観光に際し、物理的バリアの解消、移動支援、情報保障等のバリアフリー接遇を受けていたことが明らかとなった。これらのバリアフリー接遇に対して、研究協力者が予め予約時にサービス内容に照らして具体的にどのようなバリアフリー接遇を求めているのかを観光先に伝えていたケースもあった一方、当事者の機能障害のみを観光先に伝え、具体的なバリアフリー接遇の内容を観光先の従業員等に委ねているケースもみられた。また、観光に同行する家族や友人等が支援者役割を担う時は観光先の従業員等に対しバリアフリー接遇を依頼しない場合もあることが示された。このことに対して、観光先の従業員等のバリアフリー接遇等に対する理解不足等により研究協力者が支援の説明・交渉に対して感じる負担感、研究協力者と同じく観光者である家族・友人等に支援を依頼することに対する抵抗感との関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題応募時に2023年度に実施予定としていた、観光におけるバリアフリー接遇のサービス構造及び影響要因についての検討について、概ね計画通り進めることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度前期においては、2022年度研究成果である“薬局におけるバリアフリー接遇”のサービス構造及び影響要因と比較しながら、2023年度に得た“観光におけるバリアフリー接遇”のサービス構造及び影響要因について考察を深める。また、2024年度後期においては、既製服の販売サービスにおけるバリアフリー接遇のサービス構造及び影響要因について、半構造化面接による調査を行い、研究1及び研究2の成果との比較を通じ、サービスの個別性及びサービス内容の決定者の違いにより、バリアフリー接遇の構造及びその影響要因の比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
本研究課題応募時の研究経費としてインタビューデータのテープ起こしにかかる人件費を計上していた。しかし、テープ起こしに音声文字変換アプリを使用したことにより、当初の計画よりも研究費を節約することができた。 当初の予定では令和7年度に研究4の研究成果を国際学会で発表する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により国際学会の開催予定に変更が生じているため、令和6年度に開催される国際学会で研究1・2の成果を比較した知見を発表することとする。そのための国際学会参加費および交通費として支出予定である。
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