2023 Fiscal Year Research-status Report
食品の水分勾配が食べやすさに及ぼす影響:ヒトの咀嚼性・嚥下性からの解明
Project/Area Number |
22K13598
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
江口 智美 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 講師 (20740244)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 水分勾配 / 食品物性 / テクスチャ― / 咀嚼 / 嚥下 / 高齢者 / 筋電図 / うどん |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の我が国において高齢者の低栄養が問題となっている。水分量の多い食品は食べやすい一方で、摂取量あたりの栄養素量に限りがあり低栄養を招きうる。水分量を増やさずに、食品中の水分分布の不均一性である水分勾配により食べやすさを制御できれば、栄養摂取に有利で安全な食品への応用展開が期待できる。本研究では、水分量が同程度だが水分勾配が異なるうどんの物性と咀嚼・嚥下特性を検討した。水分勾配のパターンは、表面部の水分が多いもの(W)、全体の水分が均一化に近づくもの(E)、表面部の水分が少なく中心部の水分が多いもの(D)を想定して試料を調製した。 2023年度は、試料の五成分分析、水分分布の測定を行った。五成分量は試料間で大きな差異はないことを確認した。水分分布の測定は、当初、デジタルカメラ画像の解析によって行う計画であったが、今回用いた試料では適切な評価ができず難航したため、方法をMRI測定に変更して実施した。Wは水分量が表面部で多く中心部で少ない同心円状の水分勾配を持っていた。Eも同様の水分勾配を示したが、水分分布の均一化が起こり、Wよりも水分勾配は緩やかであった。Dはオーブンでの焼成を利用して調製したため、焼成時に天板に触れていなかった面の水分量は少なく、触れていた面は多い水分勾配を持っており、中心部の水分量は他2試料よりも多いことを確認した。 2022年度と2023年度に得た結果より、今回検討した範囲では、中心部に水分量が多いかつ水分勾配が急であると食べやすくなる可能性が示唆され、水分勾配が試料の物性や咀嚼・嚥下特性に影響を及ぼすことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2024年度までの実施で計画していた実験・調査を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、論文公表を進める。
|
Causes of Carryover |
マイクロMRI法による水分分布測定を実施するため、前倒し請求を行ったが、支払請求額をすべて使い切らなくても当該測定を完了させることができたため、次年度使用額が生じた。 今後、英文校正など、論文公表にむけて必要な費用として使用する計画である。
|