2023 Fiscal Year Research-status Report
食生活の違いがPM2.5成分暴露による糖代謝異常へ与える影響
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22K13600
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
外村 彩夏 東海大学, 農学部, 特任講師 (50762704)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PM2.5 / 生活習慣病 / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、大気汚染物質と生活習慣病との関連が指摘されている。PM2.5濃度や成分には季節変動や地域差があることから、本研究では、PM2.5成分を用いたPM2.5懸濁液を作製し、生体の糖代謝への影響を評価している。昨年度は、正常マウス(通常食摂取例)におけるPM懸濁液を投与した際の糖代謝への影響に関する検討を行っていたが、今年度は、食生活との関連についても検討するため、正常マウスの実験より得られたサンプルのさらなる解析と生活習慣病や肥満に移行しやすい高脂肪食摂取例における評価を行った。正常マウスの肝臓、脾臓、脂肪組織から、トータルRNAを抽出し、糖代謝や脂質代謝に関わるバイオマーカー遺伝子の発現量について測定した結果、肝臓サンプルにおいて、PM2.5投与群で炎症性サイトカイン遺伝子が低下あるいは低下傾向であった。一方、脂肪組織において、PM2.5投与群で炎症性サイトカインやインスリン受容体関連遺伝子が増加した。 高脂肪食摂取例についても、正常マウスと同様に6ヶ月間、定期的にPM懸濁液を投与した。その間、体重や摂餌量、血糖値測定を実施した。PM2.5投与群とコントロール群で、体重変化率、臓器・組織重量、血糖値変化率に差はみられなかった。一方で、摂餌量については、PM2.5投与群で増加傾向であった。現在、肝臓、脾臓および脂肪組織サンプルの糖代謝や脂質代謝に関わるバイオマーカー遺伝子の発現量について解析を進めており、今後、タンパク質レベルでの解析を行っていく予定である。また、酸化ストレスに関わるマーカーについても検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飼育期間が6ヶ月と今年度の大半を占めるが、新キャンパス移転により飼育の開始も遅くなったため、全体の進捗が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
PM2.5による生活習慣病のリスクと食生活についてさらなる検討を行うため、次年度は、高ビタミン食摂取例について検討を行う。飼育期間が長いため、高ビタミン食摂取例の飼育期間中に、高脂肪食摂取例のマウスのサンプルの分析を同時に行い、次年度については計画通りに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定より進捗が遅れたため次年度使用額が生じた。消耗品としてマウス飼育関連費用等に使用する。
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