2022 Fiscal Year Research-status Report
A new discrimination method that utilizes the adsorption characteristics of fiber and polymer materials
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22K13606
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
稲田 文 活水女子大学, 健康生活学部, 講師 (80705400)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 吸着 / セルロース系繊維 / 有機化合物 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.緒言 「高分子と低分子の分子間相互作用」は科学の諸現象を考察する際に基本的な概念であるが、複雑な因子が多く、研究は極めて少ない。そこで、単純化した分子間相互作用のモデルとして、高分子素材に対する有機化合物の吸着現象に着目し、種々の天然・化学繊維が固有の有機化合物の吸着特性を示す事がわかった。本件では、セルロース由来の繊維に対する有機化合物の吸着を検討し、セルロースの構造の違いから吸着傾向の解釈を試みた。 2.実験 1) 材料 ①繊維:天然繊維(綿)、再生繊維(レーヨン)、半合成繊維(アセテート)。繊維はメタノールで抽出後、乾燥した。②吸着物質:有機化合物(ベンゼン置換体,アセトニトリル,ジオキサン,DMF,デカンなど)、炭素数の異なるアルコール。2) 吸着実験:有機化合物の飽和蒸気にフィルムを40℃で24時間吸着させた。吸着物質を酢酸エチルで抽出し、ガスクロマトグラフィ-(Shimadzu GC-2025)で分析した。単位重量に対する化合物の吸着量を計算した。 3.結果と考察 セルロース由来の繊維、綿・レーヨン・アセテートに対して、9種の有機化合物の混合物からの吸着を検討した結果、次の事がわかった。1) 綿は、DMF、ジオキサンの順に吸着割合が多かった。2) レーヨンは、蒸気圧の高い有機化合物を吸着しやすく、メタノール、ジオキサンの順に吸着割合が多かった。綿の結晶化度は70~80で密な構造をしているが、レーヨンは結晶化度35~55であり、分子の配列が不規則である。分子の配列が吸着傾向に影響したと考えられる。3) アセテートは、綿やレーヨンと比較するとトルエン、p-キシレン、アニソールを吸着しやすい。アセテートが有するアセチル基(-COCH3)と有機化合物のメチル基(-CH3)との相互作用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルロース由来の繊維に対する有機化合物の吸着傾向が把握できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
再生繊維であるレーヨン、キュプラ、リヨセルなどの繊維の吸着傾向を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、学会発表がオンライン開催のため、旅費が不要となり、予算を次年度に繰り越すこととなった。
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