2023 Fiscal Year Research-status Report
人とのふれあいの視点からみた健康度の解明と持続可能な超高齢社会の先進モデルの構築
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22K13612
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Research Institution | Koriyama Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 央奈 郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (20835227)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 被災地の社会参加 / ソーシャル・キャピタル / 健康度 / 帰還行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、東日本大震災の原発事故の被災地である葛尾村民の既存のデータ(男性59名、女性83名)を用いて避難先からの帰還と身体活動状況、栄養状態の関連について分析し、帰還した人の特徴を明らかにした。その結果、男性では、帰還者はBMIが有意に高いことが明らかとなった(P<0.001)。女性では、帰還者は、健康であると感じている者(P<0.02)、生活に満足している者の割合が有意に多く(P<0.04)、血糖の治療をしている人が有意に少なく(P<0.05)、BMIが有意に低い(P<0.01)ことが明らかとなった。男女で帰還行動に性差があることが認められた。 上記の結果を踏まえ、新たに葛尾村民を対象に生活習慣や栄養状態、ソーシャル・キャピタルの実態を明らかにすることを目的に調査を実施した。また、被災地である葛尾村民と比較するために同県で原発事故により避難経験のない鏡石町民を対象に同調査を実施した。葛尾村民では、男性17名、女性23名に協力が得られ、鏡石町民では、男性20名、女性36名に協力が得られた。調査項目は、年齢、性別、BMI、身体活動状況、主観的健康観、生活満足度とソーシャル・キャピタルの状況とした。ソーシャル・キャピタルの状況については、地域単位の健康関連ソーシャル・キャピタル指標Ver.4.1の項目を用い、市民参加、社会的凝集性、互酬性の3つの要素を軸に両地域の比較を行った。 比較の結果、社会的凝集性、互酬性については有意な差は認められなかったが、社会参加について有意差が認められ、葛尾村民の方が社会参加をする人の割合が有意に少なかったことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葛尾村民の調査協力者の人数を100名程度見込んでいたが、実際には50名程度に留まったが予定通り調査を実施することができた。また、葛尾村民の比較として鏡石町民への調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、調査より得られたデータの解析を行い、被災地の持可能な超高齢社会を目指して、住民の帰還促進や持続可能な生活の実現のためのモデルを提案を目標とする。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、調査の対象者を200名程度見込んでいたが、実際の調査対象者は半数以下と予定より少なく、調査へ掛かる費用が少なくなったため。繰り越しとなった費用を用いて、解析の結果より、必要に応じて追加で調査を行う。また、論文作成の費用とする。
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