2022 Fiscal Year Research-status Report
真空包装による野菜の調味効果と組織構造との関連性および新規利用法について
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22K13618
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Research Institution | Tokyo Seiei College |
Principal Investigator |
熊谷 美智世 東京聖栄大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30914858)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 真空包装 / 野菜 / 組織構造 / 調味 |
Outline of Annual Research Achievements |
真空包装は真空調理の工程の一つである。生のダイコンと溶液を専用の袋に入れチャンバー式の真空包装機を用いて真空包装を行うと,ダイコン内部へ溶液が進入し重量が増加するが,ニンジンでは同様の現象は見られなかった。このことから,真空包装による溶液の浸入には野菜の組織構造が関与している可能性があると推察した。本研究では,野菜の空隙をはじめとする組織構造に着目して真空包装による調味効果との関連性を明らかにし,真空包装の特性に適した野菜を検討するとともに真空包装の有効な活用法を提案したいと考えている。 2022年度の研究では,真空包装による種々の野菜への溶液の浸入現象を把握した。食用色素溶液を用いた外観観察および顕微鏡による内部観察では,根菜類,いも類,果菜類,茎菜類を用いて真空包装処理による野菜への溶液の浸入の様子を可視化した。その結果,ジャガイモではほとんど着色が確認できず,ニンジンでは髄の木部部分は着色したが師部はほとんど着色しなかったなどの結果から,野菜の種類によって溶液の浸入の程度および浸入部位が異なることが示唆された。真空包装処理では野菜の細胞間隙などの空隙に存在していた気体が放出し溶液と置換されることから明度を測定したところ,真空包装処理により明度が低下することが確認できた。数種類の野菜と食塩水を用いて真空包装処理を行い処理後の野菜の食塩濃度を測定した結果,食用色素溶液の浸入の程度が大きい野菜において食塩濃度が増加する傾向が確認できた。また,一部の試料については官能評価も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は真空包装による野菜への溶液の浸入現象を把握することであった。溶液の浸入を重量変化率から確認できたとともに,浸入の状態を視覚的にも明らかにすることができた。ただし,調味料濃度については,予定していたすべての野菜について測定できなかったため次年度も引き続き行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験により,真空包装による溶液の浸入は野菜の組織構造の影響を受けることが示唆されたことから,2023年度は野菜の空隙率を調べるとともに,溶液の浸入と組織構造との関連性を検討する。2024年度は真空包装に適した野菜を選び,真空包装を活用した新規食品について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は購入品の予定を変更し小型コンパクトタイプの分光測色計を購入するとともに,一部実験計画を見直し感性・官能評価システムを購入した。感性・官能評価システムは新規利用食品の評価・検討にも使用する。次年度使用額は新規利用食品の検討に必要な調理器具類等に充当させる予定である。
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