2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on the Characteristics and Reactivation of Japanese style Jacquard loom
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22K13619
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Research Institution | Saga University of Arts |
Principal Investigator |
上田 香 嵯峨美術大学, 芸術学部, 准教授 (50510583)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 紋織機 / 織物 / インターラクティブ / デジタル化 / 伝統染織工芸 / デザイン / スマートテキスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「紋織機」(日本式ジャカード織機)の特性と再活性化を研究するものである。初年度、ポーラ美術財団からの助成金で運営していた「Textiles Summer School 2022」では、「日本式ジャカード織機」をテーマにし、海外チームとの遠隔コラボレーションを行った。日本式と西洋式のジャカード織機の違いを映像化、遠隔であっても日本の織り機で実際に織ることを試みるなど、今までにない取り組みを行い、海外のみならず、日本のデザイナーにも関心を持ってもらった。これを契機に当初の研究目標である、「海外の研究者と連携して、日本式ジャカード織機、絹糸の特性を明らかにし、意匠設計ソフトの英語化等の環境も整備し、海外からの利用を促進する。」、「日本式ジャカード織機の特性を学術的に明らかにすることにより、斬新な意匠、新素材を用いた生地が織れる織機として再評価、再活用されることを目指す」という目標に対して、効果的な研究を行うことが出来た。 本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1)日本式ジャカード織機を使用した新素材を開発し、展示、研究発表を行った。2)日本式ジャカード織機の特性をもとに、システム上で衣服への展開を行うシミュレーションを行った。3)日本式ジャカード織機が使用しているソフトウェアの理解を深め、海外研究者と共同で、相互使用の連携が可能となるソフトウェアの構築をスタートさせた。4)日本式ジャカードの特性を生かしたe-textieの開発に取り組み、様々な試作を行った。 これまで1)から4)に向けて研究を進めており、これらの研究成果は国内、海外の学会、国際誌に発表した。 実施にあたっては、西陣金襴の製造メーカーである株式会社もりさんの協力を得ており、成果物は研究成果として、海外展示会などでも展示していただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、初年度の成果を踏まえ、実験、発表を行った。 Royal College of ArtのBine Rothとの研究により、デジタル技術と西陣織と融合が加速したと言える。海外学会での発表では日本の染織伝統工芸への深い関心が感じられ、ネットワークが広がった。また、西陣織の企業の協力により、新用途生地の開発をスムーズに行うことが出来ており、企業の展示会などでも展示を行う機会もあり、この一年で多くのフィードバックを獲得した。これらの状況は、当初の研究計画を遂行することに大きく関わっており、結果としておおむね順調な進捗となっていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も下記の4項目を軸に研究を進めていく予定である。 1)日本式ジャカード織機を使用した新素材を開発し、展示、研究発表を行った。2)日本式ジャカード織機の特性をもとに、システム上で衣服への展開を行うシミュレーションを行った。3)日本式ジャカード織機が使用しているソフトウェアの理解を深め、海外研究者と共同で、相互使用の連携が可能となるソフトウェアの構築をスタートさせた。4)日本式ジャカードの特性を生かしたe-textieの開発に取り組み、様々な試作を行った。 特に3)に関しては、今まで日本式ジャカード織機用のソフトの改良、翻訳のみを考えていたが、University of Colorado BoulderのLaura Devendolfが開発するオープンCADソフト「Ada CAD」との連携により、新たな設計手法の研究が可能で、今年度重点的に研究を進める方針である。 一方、昨年は海外学会での研究発表を多く行っており、今後も積極的に発表をしていきたいが、今年は昨年あまり行えなかった国内学会での発表に力を入れ、国内学会からの知見を研究に生かしてゆきたい。
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