2022 Fiscal Year Research-status Report
20世紀初頭フランス女性の近代的女性観形成における東洋趣味モードの影響
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22K13622
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Research Institution | Morioka Junior College,Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 恭子 岩手県立大学盛岡短期大学部, その他部局等, 准教授 (50634424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フランス / フェミニズム / ラ・フロンド / フェミナ / 女性運動 / 家庭 / モード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、20世紀初頭のモード、とりわけ東洋趣味モードとフランス女性の近代化の相関を明らかにしようとするものである。初年度は特にモードを牽引、あるいは批評してきた「女性」に着目し、19世紀後半から20世紀初頭のフランス女性の思想的多元性を明らかにするため、フランス女性史および第一波フェミニズムに関する資料や先行研究を書籍およびデジタルアーカイブなどから収集し、精読した。 今年度の成果としては、モード、女性の教養などを扱う女性誌『フェミナ』、およびフェミニスト、マルグリット・デュランによって刊行された新聞『ラ・フロンド』、ポリーヌ・サヴァリによって刊行された『ラベイユ』を中心に、拡大する女性運動や新たに着目されるようになった女性の生活や活動をまとめる作業を行った。特に19世紀後半から20世紀初頭の女性運動に存在した異なる思想の存在を確認し、衝突していた記録を確認することができた。女性の権利のために闘う革新的な運動家として歴史上名を馳せた女性がいる一方で、家庭を持つ女性の地位を評価し、当時女性的な労働であった芸術や、芸能の価値を認知させることで近代化を図ろうとしたいわば中庸的な女性とそれらの思想を守ろうとする活動が存在した。混在する複雑な女性観の存在は、女性の特権であり女性性の表象ともいえるモードを先導した女性と、それを酷評する女性がいるように、モードにも影響を与えていたのではないかと考えられる。 これらの考察については、研究発表を予定しているが、一部、フランスの現地資料によって確認すべき箇所があるため、資料調査で確認出来次第発表を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究の論拠を十分に補強するためにはフランスでの資料調査が必要である。しかし2022年度は実施できなかったことから成果発表にまで至らず、研究に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
パリ市立図書館(マルグリット・デュラン)、フランス国立図書館などの図書館やアーカイヴで一次資料調査を行い、今年度調査内容の不足分を補うことで、研究発表および査読誌(日・英)での公表に努める。さらに次年度の当初計画に従い、女性運動とモード周辺の女性との相関をまとめ東洋趣味モードの受容の様子を明らかにしたい。また次年度以降は、フランス女性史関連の研究者との意見交換の実施を計画し、さらに進展させていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で調査や学会等で移動が出来ず旅費に関する支出がなかった。また研究に遅れたでたため、成果発表に係る費用のの支出がなかった。 次年度は、パリ市立図書館(マルグリット・デュラン)を中心に女性史関連資料の調査を実施する。また研究を進展させ、学会発表、論文投稿(日・英)などの成果の発信に努める。
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