2023 Fiscal Year Research-status Report
農山村地域における協同的自治の主体形成過程に関する実証的研究
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22K13634
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 弥生 北海道大学, 教育学研究院, 専門研究員 (10929136)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域づくり / 青年・若者 / 女性 / 協同 / 社会教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域運営に課題を抱える現代の農山村において、マイノリティを含めた多様な属性の住民に自治への参画を保障するための社会教育的支援のあり方を解明することを目的として、多様な住民の参画を推し進めようとする地縁自治組織づくり、及びそれに向けた実践を有する事例に着目し、地域住民の主体形成過程を学習の視点から検討するものである。 研究期間二年目は、農山村地域のマイノリティ側として「女性・青年」に着目した検討を行った。第一に、地域社会に自分たちの意見や考えを発信する役割を果たしていた生活記録文集の発行を40年以上継続した事例をもとに、彼女らが何を発信してきたのか分析を行った。具体的には、新潟県の中山間地域の公民館実践を事例に、文集の内容の変遷を検討した。事例からは、女性たちの発言の場(文集)が地域社会の中で確かなものとなっていったことで、のちの青年たちや年長男性との地域づくりの協働が実現したと推察される結果を得ることが出来た。この成果については、専門学会で発表した。 第二に、青年の立場から地域社会に参画していく実践について、アクションリサーチを進めた。本年度は、A県とB県の青年団による意見交換会を実施した。参加者たちに、運営の意義と課題、組織形態の違いによるメリット・デメリットについて議論を実施していただいた。この成果は、セミナー記録報告書を制作・発行した。また、本事例に関して、青年たちの事例発表の場にも訪問し、参与観察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初実施する予定だった事例調査において、聞き取りまで調査先との調整が進まなかった。ただし、調査対象者の選定は進んでおり、実施準備は進んでいる。 また、資料調査に関して、データ整理・入力作業に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、女性による地域づくり実践の事例について、今年度に学会発表した成果の論文化に取り組む。また、青年による地域づくり実践に関する本調査をすみやかに実施し、論文執筆と学会発表を積極的に行い、研究成果の公開に努める。
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Causes of Carryover |
2023年度は新型コロナウイルス感染症の影響によって、学会・研究会がオンライン実施となり、学会参加に係る経費の支出が予定より少なくなった。また、収集資料のデータ入力・整理作業を依頼する予定が遅れているため、人件費支出が予定より少なくなった。 2024年度は、現地の資料収集と整理の作業を追加し、その費用に2023年度の繰り越し分を充てる。
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Remarks |
報告書の発行 「鳥取県南部町 北海道長沼町・栗山町・様似町 青年団セミナー・交流会報告書」(発行日:2024年3月1日)
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