2022 Fiscal Year Research-status Report
夜間中学と近接諸実践の関係史研究―マイノリティ教育運動の交差点という視座から
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22K13643
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Research Institution | Wakayama Shin-Ai University |
Principal Investigator |
江口 怜 和歌山信愛大学, 教育学部, 助教 (60784064)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 夜間中学 / マイノリティ / 包摂と排除 / 教育運動 / 学習権 / 戦後日本社会 / 義務教育 / 教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、全国夜間中学校研究会及び各公立・自主夜間中学に関する史料の収集・整理と、元公立夜間中学校教員へのインタビュー調査等を進めつつ、特に在日朝鮮人の生徒の増加に伴う民族教育等に関する調査研究、部落解放運動の中で生まれ、日雇い労働者の集住する寄せ場などでも広がった識字教室の動向に関する調査研究に力を入れた。 識字教室に関しては、以前より調査を進めていた横浜の寿識字学校の事例を取り上げ、実践者である大沢敏郎に着目して論文をまとめることができた。また、元東大阪市の夜間中学教員であり在日朝鮮人2世の教員にインタビュー調査を実施し、大阪府下の在日朝鮮人教育の運動や実践に関する歴史的動向を踏まえながら、その歴史的意義を共著論文にまとめた。さらに、元岸和田市立岸城中学校夜間学級の教員へのインタビュー調査も実施し、引き続き史料調査にご協力いただけることになった。 このほか、兵庫県下の夜間中学の歴史に関する依頼原稿の執筆、兵庫県、滋賀県、大阪府、和歌山県などにおける校内研修や行政研修等の場で、夜間中学の歴史的意義を踏まえた講演を実施するなど、研究成果の公開にも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していた学校や自主夜間中学に関して十分に史料調査が及ばなかった部分もあるが、1年目に実施を予定していた大阪府下の在日朝鮮人教育と在日朝鮮人の権利擁護運動の関係に関する調査研究を進めることができたため、研究全体としては概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は、兵庫県下のインドシナ難民(特にベトナム難民)の支援活動と夜間中学での教育実践の関係、東京都の中国残留日本人孤児とその家族に関する支援活動と夜間中学での教育実践の関係、東京都での登校拒否・不登校の子どもの支援活動やフリースクール運動と夜間中学の教育実践の関係について、調査研究を進める予定である。並行して、史料調査が完了した事例から、論文や学会発表等を行っていく。研究協力者との関係や都合等により、研究を進める順番等に関しては組み換えが必要な部分もあるが、概ね研究協力者との関係づくりは順調に進んでいるため、予定通り研究を進めていきたい。
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Research Products
(7 results)