2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13655
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
劉 麗鳳 日本大学, 文理学部, 助手 (20875801)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 家庭教育 / 学校教育 / 境界線 / 子どものしつけと教育 / 感恩教育 / 都市部 / 農村部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主要な問いの1つは、現代中国において、教師や親が子どもの教育やしつけの範囲をどのように認識しているかを明らかにすることである。この課題に取り組むために、今年度は主に2つの課題に取り組んだ。1つ目は、中国における学校教育と家庭教育の関連とその境界線を考察する手がかりとして、「感恩教育」の言説研究に着手したことである。「感恩教育」とは、親を敬う倫理観である「孝文化」あるいは「孝道」を核とした価値観や行為を、親に留まらず他者や社会まで拡張させる教育活動を指す。2000年代初めの頃中国では若者を対象とした「感恩教育」の必要性が叫ばれる以降、教育学研究分野で議論が過熱化し、また学校教育の現場でも広範に取り入れられてきた。現在は弱体化傾向にあるものの、「感恩教育」の広がりを中国社会における学校教育と家庭教育の境界線の変化としてとらえ、その変容を明らかにするために関連資料を収集し、分析を進めた。 2つ目は、教育現場における「感恩教育」の実態を明らかにすることである。今年度は、中国山東省の都市部にある中学校教師を対象に、予備調査としてのインタビュー調査を実施した。調査では、「感恩教育」を含め家庭教育関連の教育改革が学校現場に与える影響や、家庭教育と学校教育の関係性に関する教師の意見について聞き取りした。インタビュー調査を通して、教育改革の趣旨に部分的に賛同しながらも、その実際の教育効果に対して懐疑的であること、また改革により現場教師の業務が増えたことに対して不満を持っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、申請者は産前産後の休暇および育児休業を取得したため、本研究課題を約半年間中断せざるをえなくなった。そのため、研究計画が予定より遅れている状況にある。今年度は5.研究実績に示した通り研究活動を行ったが、テーマに関連する資料や文献をある程度収集できたものの、その講読と整理・分析が予定通りに進んでいない。また、予備調査として、中国都市部の中学校で現地調査を実施できたが、本調査までに及んでおらず、また農村部での現地調査も実施できなかった。予備調査で得られた知見を活かし、今後は本調査に向けて準備を行なっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の残余課題を踏まえ、次年度以降は次のように課題研究を進めていく。まずは、今年度すでに収集した「感恩教育」の関連資料の分析を進めることである。分析の際には、「感恩教育」の言説がどのように変容していったかに注目しながら進める。次に、今年度実施した都市部の学校教師インタビューの予備調査を踏まえ、本調査を実施することである。また比較の視点から、農村部の学校教師に対しても同様な調査を実施する。また、インタビュー調査で得られた知見を精緻化するために、必要に応じて質問紙調査を実施するなど、混合型調査法を用いることも計画している。
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Causes of Carryover |
今年度は産前・産後休暇および育児休暇を取得した関係で、研究活動を一時中断したため、予定していた通りの研究活動ができなくなった。そのため、当該経費を翌年度分として利用する。具体的には、質問紙調査の設計や準備、調査実施に伴う諸費用と対象者への謝礼金、分析に必要なパソコンやソフト類の購入を予定している。また、インタビュー対象者が決定した場合は、現地調査を行うため、そのための費用として使用する予定である。
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