2022 Fiscal Year Research-status Report
保育者の自己受容感が子どもの姿の肯定的な読み取りに与える影響
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22K13674
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
勝浦 美和 四国大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (40735817)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自己受容感 / 保育者 / 幼児 / 肯定的な読み取り / 園内研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、「保育者の自己受容感が子どもの姿の肯定的な読み取りに与える影響について探る」ことを目的とし、「子どもの姿の肯定的な読み取り」に関する項目と「自己受容尺度」を用いてインターネット調査を実施した。 「子どもの姿の肯定的な読み取り」に関する項目では、令和3年度に行った予備調査「対応に迷う幼児の行動や場面」の回答内容を整理し、保育者としての経験と力量を備えた主任保育者2人と著者を含む幼児教育系研究者2人で断片的情報の構造化を行ったのち、23項目を作成した。項目内容は、「全員でダンスをする時に、『踊りたくない』と言って座りこむ」など、普段の生活の中で見られると思う子どもの姿とし、問題があると思うかどうかについて聞いた。また、自己受容の定義を「自分自身をありのままに受け容れることができる」とし、櫻井英未(2013、2014)が作成した「自己受容尺度」のうち、「現在の自分を受け入れている」ほか全8項目を採用した。 これらの質問項目について3歳児~5歳児を担任する保育者に対し、2月にインターネット調査を実施した。717人から回答があり、有効回答710を分析対象とした。属性内訳について、職種は、保育士324人、幼稚園教諭217人、保育教諭169人であった。性別は男性34人、女性676人であった。年齢は、20代237人、30代241人、40代147人、50代69人、60代16人であった。保育経験年数は、5年未満192人、5年以上10年未満232人、10年以上286人であった。回答内容については、現在、分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、令和4年度中にインターネット調査結果を分析し、令和5年度には、園内研修を用いた介入調査を実施する予定であったが、項目作成やインターネット調査準備、倫理審査に時間がかかり、現在も分析を行っている途中である。 しかし、「子どもの姿の肯定的な読み取り」に関する項目を作成するにあたり、保育者としての経験と力量を備えた主任保育者2人に協力をいただいたことにより、保育者がより想像しやすい子どもの姿を抽出することができたと考えられる。また、インターネット調査では、想定していた900人には届かなかったものの、700人を超える参加者を得ることができたため、やや遅れは生じているものの調査内容の進捗状況としては納得のいくものであると推察される。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、インターネット調査の分析を行い、保育者の自己受容感と子どもの姿の肯定的な読み取りの関連について明らかにする。また、子どもの姿の読み取りと保育者の保育経験年数や園の保育形態などとの関連についてもあわせて検討しながら、保育者の読み取りの傾向を明らかにしたい。さらに、保育者の読み取りの傾向を本人がどのように自覚し、肯定的な子どもの姿の読み取りに繋げていくのかについても検討する必要があると考えられる。
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Causes of Carryover |
当初、3歳以上児(満3歳児を含む)を担任する幼稚園教諭、保育士、保育教諭のうち、経験年数3年未満200人、3年以上5年未満200人、5年以上10年未満200人、10年以上15年未満200人、15年以上200人の合計1,000人を想定していた。しかし、インターネット会社のスクリーニングにおいて、条件の合う参加者数が見込めなかったため、想定を5年未満300人、5年以上10年未満300人、10年以上300人に変更した。調査者数の減少により、次年度使用額が生じた。令和5年度は、分析内容に関するインタビュー調査などを追加するとともに、研究協力園への訪問などを積極的に行い、適正使用に努めたい。
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