2023 Fiscal Year Research-status Report
数学の美の感得を軸とする算数・数学科カリキュラムの構成原理
Project/Area Number |
22K13687
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
花園 隼人 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60816495)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 数学教育 / 算数教育 / 美しさ / 教育課程 / カリキュラム / 教科書 / 教科内容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,数学の美の感得過程で用いられる数学的内容に着目し,学習者による数学的対象の美の感得を軸とした算数・数学科カリキュラムの構成原理を明らかにすることである。特に,これまでの研究で学習者による活用が不十分であることが確認されている,(i)「相似」と「比例」,(ii)「一意対応」,(iii)「推論の特性」という数学的内容に焦点化した具体的な研究を展開する。 令和5年度は,(iii)「推論の特性」を主たる対象とした研究を展開した。まず,中学生のペアを対象に実施した実践的な調査研究で収集した問題解決過程のデータを中学生が経験したカリキュラムを視点に分析することで,中学生の問題解決過程における判断や行為にカリキュラムの影響が見られることを指摘した。また,その成果を踏まえて推論に関する数学科カリキュラムを分析することによって,学習指導要領解説で言及された形式的証明に関する内容が,教科書には十分に反映されていないことが確認できた.学習指導要領解説で言及されている逆向きの推論を扱う際に,学習者が推論の方向の統一性に配慮するような機会を中学校第2学年以降のカリキュラムに位置づける必要があるという示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた分析やデータの収集ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では小学生・中学生・高校生を対象とするインタビュー調査を実施することとしていたが,令和5年度の研究成果から,本研究課題においては小学校・中学校における学習が中心的に関係していることが明らかになった。最終年度である令和6年度には,これまでに収集したデータの分析を進めるとともに,分析結果に応じて小学生・中学生を対象としたインタビュー調査及びその結果の分析を継続的に実施する。
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Causes of Carryover |
令和4年度において,新型コロナウイルスに係る理由から不参加となった国際学会の旅費等及び半導体不足に係る購入物品の計画見直しによって生じた差額によって,令和5年度への繰越金が生じた。令和5年度は燃料費の高騰などからこの繰越金の一部を使用したが,未使用分が令和6年度への繰越となった。この繰越金については,令和4年度に不参加となった国際学会の代替として,令和6年度に国際学会に参加する際の旅費等に充当する予定である。
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