2022 Fiscal Year Research-status Report
人権課題「アイヌの人々」を題材とした道徳教材開発に関する研究
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22K13701
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
河野辺 貴則 四国大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30881510)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アイヌ / 道徳 / 教材開発 / 道徳科教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度である令和4年度は、①「アイヌの人々を題材にした道徳教材の現状把握による道徳教材開発の視点の検討」並びに、②「アイヌ民族の先住地である北海道に建立している博物館や資料館等の臨地調査による資料収集」を実施した。 ①に関しては、道徳科の主たる教材である道徳科教科書に掲載されている人権課題「アイヌの人々」の読み物教材の特色と傾向を整理した。上記の分析を通して、「アイヌの人々」を題材にした道徳教材は、アイヌ民族としての誇りを持つ人物や、アイヌの人々を尊敬し共生に向けて尽力した歴史上の人物の生き方や、道徳科の質の高い指導方法との融合、アイヌに関する歴史的な認識についての教育の中立性を遵守して道徳教材開発を推進していく視点が取り入れられている傾向にあることを確認した。 ②に関しては、8月6日から11日にかけて、北海道の白老町や平取町、札幌市、旭川市に建立している博物館や資料館の臨地調査を実施した。アイヌ民族としての誇り高い生き方を綴っている資料や、伝記資料の根幹となる手記などが保存されていることを確認し、今後の道徳教材開発を具体化させていくための資料収集を推進することができた。また、児童生徒向けの道徳教材に関する現状や今後の教育の分野での普及に関する課題に関する聞き取り調査を実施することを通して、本研究の主題である人権課題「アイヌ人々」を題材にした道徳教材開発に向けた資料や情報を収集することができた。 なお、初年度の研究成果については、日本道徳教育学会や日本教育実践学会が開催する研究大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の初年度である令和4年度では、道徳科教科書に掲載されている「アイヌの人々」を題材にした道徳教材を収集し、分析することを通して現行の道徳科教科に掲載されているアイヌを題材にした道徳教材に関する傾向や特色を把握することができた。 また、アイヌ民族の先住地である北海道に建立しているアイヌに関する博物館や資料館の臨地調査を実施した。臨地調査によって、「アイヌの人々」を題材にした道徳教材に関する基礎的な資料の収集ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年計画の2年次である令和5年度では、「アイヌの人々」が先住民族として文化を築いた地域における道徳教材の傾向や特色を調査することを通して、「アイヌの人々」を題材にした道徳地域教材に埋め込まれた教材開発の視点を継続的に検討する。また、令和4年度と令和5年度で収集した資料や情報を基に「アイヌの人々」を題材にした道徳教材開発に向けた主な登場人物を総合的に選定する。そして、選定した登場人物に関する資料や情報の調査を実施し、「アイヌの人々」を題材にした道徳教材開発を進めていく。 なお、日本道徳教育学会等の研究大会において、研究経過やデータ資料の一部について報告する予定である。
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Causes of Carryover |
第99回日本道徳教育学会研究大会が対面ではなく、遠隔での実施になった。そのため、当初予定していた研究成果発表に関わる旅費を支出する必要がなくなったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、教材開発に向けて新たな臨地調査の必要性が生じているため、その際の旅費として使用する予定である。
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