2022 Fiscal Year Research-status Report
The Effects of Scholarship on Student's Learning Behavior Focusing on PreferenceDevelopments and Expansions of Behavioral Economics Approach
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22K13722
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
呉 書雅 福島大学, 教育推進機構, 特任准教授 (70880219)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 奨学金 / student financial aid / 学生支援 / 選好 / 学習行動 / 就労行動 / メンタルアカウンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大学生の選好に焦点を当て、奨学金が学生の学習・就労行動に与える影響を明らかにし、学生の学習を促進する奨学金制度の在り方に関する知見を得ることを目的としている。具体的に、本研究では(1)理論的枠組の構築(令和4年度)、(2)探索的調査「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に係わる探索的調査」(令和4-5年度)、(3)実証的検証「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に係わる実証的調査」(令和5-6年度)といった3つの課題に取り組んでいる。 課題(1)では、前科研の研究成果を基に、奨学金の就業抑制効果・学業促進効果が学生の時間選好を介して作用することが確認され、新しい仮説として①リスク選好(回避)、②社会的選好(同調)、③遊興費自活の経済観念(メンタルアカウンティング)が得られた。これらの研究成果を踏まえ、令和4年度では、行動経済学の観点から学生の選好に関する理論を精査した。また、課題(2)として、探索的調査「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に関する探索的調査」を試行した。その結果、「遊ぶお金はアルバイト、勉強のお金は奨学金や仕送り」という遊興費自活の経済観念が強い場合、アルバイト時間が増加することが明らかになった。これにより遊興費自活の経済観念のような目的に応じた財の管理「メンタルアカウンティング」は、学生の就労行動へ効果的に介入するための手がかりとして、高等教育政策や高等教育実践に示唆を与えるものである。以上の研究実績は、研究発表(2件)および研究論文(3件)として公表されている。来年度には、さらに探索的調査を拡大し実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、課題(1)および(2)はいずれも計画通りに順調に進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は全体的に研究計画に沿って進展しており、来年度には引き続き課題(2)の探索的調査「学生の選好に基づく経済行動・学習行動に関する探索的調査」を拡大実施し、その研究成果を公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、旅費(学会発表など)を予定通りに実行することができない。実行できなかった予算は、次年度に探求的調査のインタビュー調査対象者への謝礼として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)