2022 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション・ロボットによる自学支援-小学校の単元内自由進度学習を対象に―
Project/Area Number |
22K13760
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊藤 慎悟 上智大学, 多文化共生社会研究所, 研究員 (10823388)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 個別最適な学び / コミュニケーション・ロボット / 単元内自由進度学習 / 個別化・個性化教育 / 学習環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和の日本型教育においては, 「協同的な学び」と「個別最適な学び」の一体的な充実が求められている。本研究では, 「個別最適な学び」の教育方法である単元内自由進度学習を対象として, 子どもの学習を支援する学習環境としての, コミュニケーション・ロボットの活用の可能性を検討することを目的とする。 本年度は, 自学を中心とした学習において, 教師側が子どもに対してどのような支援を行っているのかを明らかにし, その上で, 支援のうち自動化が可能な部分を抽出することを目的とした。調査研究として, 単元内自由進度学習に取り組んでいる複数の小学校を対象とし, 単元内自由進度学習のフィールド調査及び担当教員との非構造化面接を行った。それらの結果から、単元内自由進度学習における児童生徒との直接的なやり取りにおいては、画一的な対応ではなく, 児童生徒の学習進度や個性, 育てようとする姿に応じて, 個に沿った個別的な対応がなされていることが見いだされた。また, 実践上の課題としては, 学習カードをはじめとする学習環境の整備に難しさを感じていることも見いだされた。これらのことから, コミュニケーション・ロボットの活用の可能性として, 紋切型の質問対応するための学習環境としては, 教育目的から望ましくないということが考えられる。一方で、ロボットは、デジタル教材との相性が良いことや、人ではないことの良さがあることも考えられ、資料提示や採点時の動機付け、プログラミングを含めた発展課題としての環境としての活用が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究として、支援のうち自動化が可能な部分を抽出することとコミュニケーション・ロボットの支援機能について試作を行う事を同時に進める予定であった。 本年度の研究により、単元内自由進度学習におけるコミュニケーション・ロボットの活用の可能性に関しては、複数のタイプを見出すことができた。コミュニケーション・ロボットの機能をプロトタイプとして試すということに関しては、コミュニケーション・ロボットの契約が用いる機能が定まらないと進められないといった兼ね合いから、調査と同時に行う事ができず、今後行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き教師の支援に関するフィールド調査を行いつつ、コミュニケーションロボットを実験的に自由進度学習の学習環境として配置し、使用状況や使いやすさについて調査を行う予定である。調査予定実施校は決まっており、時期を調整中である。
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Causes of Carryover |
コミュニケーションロボットの使用料が、材料不足による納入時期の遅れ、使用開始時期と支払い開始時期のずれにより、支払いが次年度のあつかいとなったため。
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