2022 Fiscal Year Research-status Report
Internet use by people with intellectual disabilities for digital inclusion
Project/Area Number |
22K13763
|
Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 晋吾 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (00827446)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | デジタルインクルージョン / 知的障害 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障害者におけるインターネット利用に関する現状と課題を明らかにするために、知的障害児が在籍する特別支援学校での授業見学及び教職員への聞き取りを中心に調査を行った。GIGAスクール構想により国内の特別支援学校では一人一台端末が配布され、各教室へWi-Fiが設置されたことにより、児童生徒がインターネットを利用できる環境が整えられている。 ICT活用を校内研究として掲げて推進する学校も多く見られ、インターネット上で使用できるサービスを一部利用しながら学習活動に取り組む例も報告されている。検索エンジンの利用や、チャット機能を使ったコミュニケーション指導などがそれに該当する。これらの学習活動では、授業を通して児童生徒に身につけてほしい目標があり、それを達成するための手段としてデジタル機器が使用される。また、先行研究や文献で報告されている事例も含め、知的障害のある児童生徒がインターネット利用について学習する機会では、使用する上でのリスク管理に関する内容が取り上げられることが多い。デジタルシティズンシップ教育や情報モラル教育、SNS上での性的トラブル等についてリスクを回避する方法について学ぶ授業等が中心となり、社会的生存に最低限必要なデジタル活用能力(ITリテラシー)の獲得支援を目的とした教育実践を行っている例は見当たらなかった。 学校内において、デジタル端末は教員が管理していることが多く、自宅への持ち帰りを制限している学校も少なくない。そのため、児童生徒はいつでもインターネットを利用できる環境にない場合が多い。一方で、個人のスマートフォン所有率は高まっていることから、児童生徒らは自身のデバイスからインターネットを利用していることが推測される。デジタル面のインクルージョン実現に向けて、社会で生活するのに必須のデジタル活用能力と、知的障害児者のインターネット利用状況の解明が求められる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状と課題の調査結果に基づき、社会的生存に最低限必要なデジタル活用能力に関する仮説を立て、学校教育のなかで取り扱うべき指導内容について検討を行っている。仮説の妥当性を検証したのちに、質問紙を作成し、調査を実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
知的障害のある児童から成人までを対象とした大規模な質問紙調査を実施し、インターネットの利用率、利用目的、デジタルスキルに関する知識や技能の習得状況、利用しているデバイスの種類、インターネットを利用していない理由等を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
初年度に予定していた質問紙調査の実施が遅れたことにより次年度使用額が生じた。R5年度において、当該年度以降分として請求し、調査を実施する。
|
Research Products
(1 results)
-
[Book] 幼児と児童のための教育とICT活用.第8章 特別支援教育におけるICT活用(p.87-98)2023
Author(s)
末松加奈,中村清二,齊藤勝,井口武俊,古谷享仁,吉永早苗,立川泰史,井上知香,佐藤朝美,富山大士,原田晋吾.
Total Pages
112
Publisher
学文社
ISBN
4762032069