2022 Fiscal Year Research-status Report
校内研究のマネジメントとその参加を通じた教師の成長に関する研究
Project/Area Number |
22K13767
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 菜摘 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (30907150)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 授業研究 / 校内研修 / 学校研究 / 教師の学び / 教師の成長 / カリキュラムマネジメント / 研究主任 / 校長のリーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、校内研究運営上の関心と個別の教師の日常実践の変容の双方の視点から校内研究を通じた教師の成長を記述することである。具体的には、(1)校内研究の運営における動向について調査を行うこと、また、事例研究により、(2)学校の研究活動への参加を通じた個別の教師の実践変容の様相を記述するとともに、(3)研究を運営する立場にある教員が行っている取り組みや工夫について明らかにすることによって、(4)校内研究を通じた教師成長モデルの提案を目指す。 2022年度は、上記に挙げた(2)と(3)への取り組みとして、STEAM教育をテーマに校内研究に取り組む小学校を対象に、約1年にわたって校内研修および授業実践の録画・録音ならびに数名の教師へのインタビューを実施し、授業実践の変化と校内研修との関連について検討するとともに、管理職と研究主任がどのような意図をもって研修をマネジメントしていたかについてデータ収集を行った。 個別の教師の実践変容の様相については、3名の学級担任教師を対象に、6月と11月の日常実践を観察し、それをもとにしたインタビューを行うことで記述するとともに、年間5回実施された授業研究会の中での発言内容と教室実践との関連を見た。その結果、授業研究会での発言内容は、日々の実践に対する語りに現れる理想の授業像やそれに対する課題と関連しており、個別の教師が自身の実践の中で培う問題枠組みが、授業研究会における学びに重要な意味をもつことが確認できた。また、それぞれの教師には授業研究会で獲得した知識の取り入れ方に違いが見られ、教職経験や担当学年など、教師による個人差についても詳しく検討していく必要性が示唆された。これらの成果については、学会で報告を行った。 リーダーシップに関するインタビューは年度末に実施したため、これから分析・報告を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、広く調査研究を行うことで全体的な研修の動向把握とともに特徴的な実践を行う事例校の選定と研究依頼を行う計画であったが、校内研修を通じた積極的なカリキュラム・マネジメントに取り組む研究モデル校からの協力が得られたため、調査研究に先立って事例研究を実施することとなった。結果として調査研究と事例研究の順序が前後することになっているが、2年目に収集する予定であったデータについては十分に収集ができた。今年度得られた知見をもとに調査項目を精査することも可能と考えられ、研究計画の進展としてはおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
事例校で得られた研究成果をもとに調査項目を検討しなおし、1年目に行う予定であった調査研究を実施する予定である。さまざまな学校の取り組みを広く理解することにより、事例校における取り組みを位置付け、さらに深く解釈することができると考えている。 また、1年目は小学校を事例として扱ったが、2年目は中学校に協力を依頼する。中学校における授業研究・校内研修の実践は小学校に比べて知見が少なく、新たな視座が得られるものと考えている。 さらに、国内外の学会で研究の成果を報告していくことで、議論の中でさらに考察を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
購入予定であったPCとソフトウェアが計画よりも安価なもので代替可能であったため、次年度使用額が発生している。 一方で、所属の変更により、関連資料へのアクセスがこれまでよりも容易でなくなることが予想されるため、文献の購入や複写にかかる費用に充てたいと考えている。
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