2022 Fiscal Year Research-status Report
Thinking physical education through the use of ICT introducing digitizing analysis of strobe images
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22K13774
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
東 章弘 福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 教授 (50546257)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストロボ画像 / フィードバック / デジタイジング / 体育授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストロボ画像によるフィードバックについては,視覚的なフィードバックと分析を伴うフィードバック(分析フィードバック)が期待される。従来の視聴覚機器の活用にあたっては,ビデオや連続写真などによる動きのフィードバックを学習者に対して与える方法が一般的であったが,タブレット端末によりビデオ撮影,再生が簡便となり,且つ,ストロボ画像が安価なアプリケーションで作成できること,無償のデジタイジングソフトが提供されていることなどから,体育授業におけるストロボ画像の利用や,ストロボ画像をデジタイジング分析することによる動きの分析的視点の醸成が体育学習において期待される。 ストロボ画像の基礎的な利用価値としての「視覚的フィードバック」の観点から,ハードル走の体育授業においてストロボ画像の活用を試みたところ,ハードル走タイムが向上したほか,内省としてジャンプする意識を低減させるなどバイオメカニクス的に有用な動作改善の意識が捉えられた(Azuma & Matsui, 2023)。 また,走幅跳の体育授業において,踏切局面のストロボ画像(矢状面)を用いて学生自身が踏切角や踏切時初速などの変量をデジタイジング分析から導く「分析フィードバック」を与え,跳躍パフォーマンスに対する効果を調べたこれまでの研究(松井と東, 2019; Matsui & Azuma, 2021)とその方法論的研究(松井と東, 2020)についてそれらの経緯を整理した。すなわち,踏切の瞬間がストロボ残像間にあったとしても踏切角と初速を予測できること(推定式の提案),分析フィードバックは平均的には授業参加者全体の跳躍パフォーマンスを向上させなかったが,跳躍スキルの優れているものに分析フィードバックの恩恵が観察される傾向を明らかにすることなどが総括された(東と松井, 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学習者自身の動きの自己分析(フィードバック)による課題解決型学習が動作の改善や理解に与える影響を明らかにすることがこの段階での研究課題であった。これに対して,ストロボ画像の基礎的な利用方法として「視覚的フィードバック」の効果をハードル走の体育授業により明らかにし,国際誌に誌上発表した。一方,ストロボ画像を学習者自身がデジタイジング解析して動きの改善に資する変量を導く「分析フィードバック」の効果を走幅跳の体育授業において明らかにしたこれまでの成果とその手法の理論的根拠に関する研究を総括して国内で開催された学会にて口頭発表し,当該学会のProceedingsにおいても総括的論文としてまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
動きの自己分析(フィードバック)に基づく主体的探究や共同的探究が動作の改善や理解に与える影響を与えることが次の課題ですが,ストロボ画像の「視覚的フィードバック」や「分析フィードバック」のどちらにおいても主体的・共同的探究を導くことができる可能性がハードル走や走幅跳における実験研究の過程においても十分に観察されてきた。したがって,これらの陸上競技種目における追実験もしくはほかの種目においてストロボ画像を利用したフィードバック効果の実験研究を企図し,被検者の内省を調査する項目を設定した上でフィードバックによる主体的探究や共同的探究がどのように促され,学習の効果や動きの改善に影響を与えるのかを調べることが今後の研究の推進方策である。
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Causes of Carryover |
購入した物品費等の額が想定よりやや安価であったことで次年度使用額が生じたした。これを翌年度の助成金と合わせて研究遂行に必要な物品費等に供したい。
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