2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K13796
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
山口 奈緒美 (高田奈緒美) 東北福祉大学, 教育学部, 准教授 (90550179)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 寛容 / 葛藤解決 / 文化差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、不寛容の克服という観点から見出してきた寛容促進メカニズムの文化最適化を目指している。これまで、寛容を抑制する「自分の非のなさを認めてもらいたい」という被害者に生じる無過失承認動機は、第三者がこれを承認することによって緩められ、寛容が促進されるというプロセスを見出してきた。しかし、この第三者の反応によって駆動される寛容促進プロセスは、アジア文化圏において限定的である可能性もある。調和的文化が優勢である日本においては、このような第三者の無過失承認は報復を抑制するように被害者を方向づけると考えられるのに対し、欧米文化圏において、自己の正当性や過失のなさが証明されることは、報復を動機づける可能性があるからである。そこで、本研究課題を達成するために、本年度は、無過失承認動機の充足は日本においては寛容を高めるが、欧米においてはそれを抑制すると予測し、これまで我々が乱してきた第三者による寛容促進プロセスの文化適用範囲を探ることを目的とした。 本年度は、まず、アジア文化圏に属する日本と比較するために、欧米文化圏に属すると考えられるアメリカとオランダの2か国の研究協力者にコンタクトを取り、協力を取り付けた。日本、アメリカとオランダの3か国(2つの文化圏)において質問紙調査を行える素地を作った。次に、実施予定の質問紙についてアメリカとオランダの研究協力者との間でやりとりを行い、実施可能なものへと修正を重ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで日本で用いてきた質問紙を国際比較用に修正する手続きに時間を要しているが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較用の質問紙を早急に仕上げ、研究計画に示した研究1を終わらせる。これによって、文化適用範囲を明らかにし、すみやかに研究2に移行する。
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Causes of Carryover |
現在、国際比較用の質問紙を研究者間でやりとりし修正を重ねている途中の段階のため、最終的な翻訳確認のための費用は本年度はまだ使用していない。質問紙が完成した段階で英文校正費として次年度使用額を使用したい。
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