2023 Fiscal Year Research-status Report
ナッジのオーダーメイド化:記述的規範に対する感受性の個人差を考慮した行動変容
Project/Area Number |
22K13806
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
尾崎 拓 関西福祉科学大学, 心理科学部, 講師 (60909406)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会規範 / 同調 / 項目反応理論 / 異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、他者の実際の動向にもとづく社会規範である記述的規範に対する感受性の個人差を明らかにすることを目的としている。社会規範が私たちの行動に影響を及ぼすことはこれまでの社会心理学の研究から明らかであるとはいえ、その個人差については直接的な検討がなされてこなかった。 本年度は、記述的規範の感受性を測定するための心理尺度を開発するためのオンライン調査を実施した。新しく開発した尺度は、多数派の動向が提示されている場合に、その多数派に従うか、それともその多数派に抵抗するかが反復測定された。項目反応理論にもとづく分析の結果、反応データはおおむね想定した統計モデルに合致することが確かめられた。推定された個人差は、事前登録された検定の結果、既存の同調志向性や協調性パーソナリティと想定通りの相関を示した。この結果は、本尺度で測定された個人パラメータの妥当性を示す証拠とみなされた。さらに、縦断調査の結果から、測定された感受性が時間的な安定性を示すことがわかった。本調査によって得られた妥当性と信頼性の証拠から、本尺度が規範に対する感受性を測定することに成功したと結論づけた。 さらに、本年度は追加的な研究課題として、同調バイアスについての知見を得ることも目指した。同調バイアスは、社会的な影響に過剰に反応するバイアスのことである。理論的には同調バイアスの存在が示唆されるものの、経験的には、その存在については議論があり、逆方向の非同調バイアスの存在も指摘されていた。本年度の調査では同調についてのバイアスを検出することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した調査では、新しく規範に対する感受性を測定する尺度を開発した。規範に対する感受性を、言語的な内省報告によらずに測定する手法には新規性があるが、尺度についての分析の結果、この妥当性と信頼性が確認されたためである。一方で、項目反応モデルにはデータとの乖離を示す指標もみられ、さらなる洗練が必要であることも示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究によって推定された規範に対する感受性の個人パラメータは、既存の心理尺度との関連性が示された。一方で、行動指標との関連性は直接検討されていない。今後の研究では、行動指標との直接的な関連性を検討し、さらなる妥当性の証拠を集積することを目指す。また、これまでの研究では開発した尺度に交絡の問題が含まれている。これは、感受性を測定するために提示した他者の動向データに実データを用いていたことに由来する。尺度の応用可能性を拡大するために、他者の動向を任意の組み合わせにした場合でも、同様の妥当性と信頼性が得られるかどうかを確かめる必要がある。
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Causes of Carryover |
実施した縦断調査の脱落率が想定よりも低く、より低いコストで調査を実施することができたから。開発した尺度の応用可能性と通文化性を検討するために、国際的なサンプルパネルを利用した追加調査を実施する計画である。
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