2022 Fiscal Year Research-status Report
養育態度の解剖 -養育の質の世代間伝達と子どもの脳発達の関連を探究する-
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22K13809
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松平 泉 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 助教 (10878440)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 養育態度 / 世代間伝達 / トリオ / 脳画像 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究課題の前身となった既存データの解析結果を日本神経科学大会にて発表した。この研究では、18歳から27歳の日本人157名とその両親を対象とした。以下、子世代をGeneration3(G3)、両親世代をGeneration 2(G2)、両親の親世代(子世代にとっての祖父母)をGeneration 1(G1)と表現する。Parental Bonding Instrument日本語版の養護性指標(Care factor; CA)を用いて、G3にはG2父母の、G2にはG1父母の暖かさや親密さを回顧的に評価させた。G1・G2ともCAが高い群(肯定的伝達群)、G1のCAは低いがG2のCAは高い群(否定的伝達回避群)、G1・G2ともCAが低い群(否定的伝達群)、G1のCAは高いがG2のCAは低い群(肯定的伝達断絶群)、の4群にG3を分類した。磁気共鳴画像装置を用いて撮像したG3の脳のT1強調画像から、局所灰白質体積と皮質厚を算出した。上述の4群間で灰白質体積や皮質厚に有意な差が見られる領域を明らかにするために、G3の年齢・性別・全頭蓋内容量を補正した一元配置分散分析を行った。その結果、G1父・G2父ともにCAが高い群(祖父-父間の肯定的伝達群)は、中側頭回の皮質厚と側坐核の灰白質体積が大きいことが確認された。得られた関係性を説明する生物学的機序の考察が必要である。 また、本研究課題の主軸となる小学5年生から中学3年生の子どもとその両親のトリオを対象とした新規データ取得も進行している。2022年度は76トリオの脳画像を撮像し、親の養育態度や、親自身の幼少期の被養育体験に関する評価尺度への回答を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究参加者の募集が計画当初より遅れ、データ取得の開始は2022年9月となった。しかし、多くの参加申し込みを受け、当初の想定を上回る速度でデータ取得を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的を達成するために必要なサンプルサイズは280トリオ程度と試算される。2023年度もデータ取得を継続し、目標サンプルサイズに近づける。また、FreeSurfer、fMRIPrep等の手法によって脳画像の前処理とQuality Checkを進める。
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Research Products
(1 results)