2022 Fiscal Year Research-status Report
ストループ・逆ストループ干渉が反映する認知機能の解明
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22K13817
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
松本 亜紀 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (10567291)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストループ干渉 / 逆ストループ干渉 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストループ干渉と逆ストループ干渉はいずれも,妨害情報からの干渉を抑制しながら,処理しなければならない情報に注意を集中させることが 要求される課題であり,一見,共通の認知機能に基づいているようにみえる。しかし近年,両干渉を同時に測定することで精神疾患の種類によって両干渉が異なる生起パターンを示すことが報告されており,両干渉は異なる認知機能を反映していることが示唆されている(箱田・渡辺・ 松本,2020)。しかし,これまで多様な分野で十分な知見が蓄積されているストループ干渉と異なり,逆ストループ干渉がどのような要因から影響を受けるのかの詳細な検討はなされていない。本研究では両干渉の違いに影響を与える要因を検討し,両干渉が反映する認知機能を解明することを目指す。 本年度は,「抑制機能と両干渉との関係の検討」を目的とした。そのために,(1)抑制機能を測定するための課題の選定,(2)抑制機能課題の作成と課題の調整,(3)実験の実施及び分析を予定していた。 まず,(1)については,当初抑制機能課題としてネガティブ・プライミング課題を使用することを予定していたが,先行研究を検討したところ,ネガティブ・プライミング課題は抑制機能の加齢効果を受けにくいことが判明したため,加齢効果が反映されやすい抑制機能課題であるgo/no-go課題,もしくはstop signal課題を用いることとした。 (2)及び(3)の目標については,私的な面において予期せぬ事態が発生したため着手することができなかった。そのため,本年度の(2)及び(3)の目標については,次年度の研究目標「他の認知機能検査と両干渉との関係の検討」と同時進行で実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
家族の病状の急激な悪化による介護,死去に伴う葬儀等の実施,死去後の各種手続き等を全て一人で担っていたため,心身ともに不調をきたし,通院が必要となった。授業や学生指導,管理運営などの通常の大学業務の遂行のみで精一杯となり,今年度の研究計画の進捗が著しく遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に予定していた「抑制機能と両干渉との関係の検討」と2023年度の研究目標「他の認知機能検査と両干渉との関係の検討」を同時進行で実施する。
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Causes of Carryover |
私的な面において予期せぬ事態が発生したため,2022年度に予定した研究計画を実施することができなかった。そのため,物品費,人件費・謝金を繰り越す必要が生じた。 次年度の使用計画は,まず,実験1「抑制機能と両干渉との関係の検討」のために,実験機材として3台ずつノートPC(約45万円)と実験用ソフト(約41万円)を購入する。実験参加者は110名(謝金1千円)を予定している(11万円)。実験実施のためにアルバイト(謝金1千円)を雇用する(11万円)。次に,実験2「他の認知機能検査と両干渉との関係の検討」のために,知能検査を3台(約46万円)と検査用紙(約17万円)を購入する。実験参加者は80名(謝金2千円)を予定している(16万円)。実験実施のためにアルバイト(謝金3千円)を雇用する(24万円)。
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