2022 Fiscal Year Research-status Report
被援助に伴うネガティブイベントへの対処を含めた感謝トレーニングの開発
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22K13821
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
吉野 優香 立正大学, 心理学部, 特任講師 (10883746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感謝感情 / 負債感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,感謝感情とそれに付随する負債感情および自己へのゆるしに着目した介入手法の検討に基づく感謝トレーニングの開発を目的としている。実施計画全体の遂行過程において,2022年度は,感謝介入手法の改善につながる知見創出を目的とした1点の研究を実施し,本研究課題につながる事前調査の成果を学会にて発表した。 実施した研究について,主要な結果を報告する。感謝介入手法の改善につながる知見として,感謝感情と負債感情の個人内の生起過程に着目した。感謝経験に付随する負債感情への対処を含めた介入手法を検討するにあたり,感謝感情と負債感情が同一場面や規定因において経験されることを,個人内の影響過程から明らかにすることは,介入手法の必要性を主張するうえで意義のある知見となると考えられた。経験サンプリング法を用い,大学生に対して1週間1日4回の感謝経験の報告を求めた。分析の結果,感謝感情の経験の強さは,規定因とされる利益の評価(価値・コスト・誠実性)の影響を受けることが個人内の影響過程において説明された。負債感情の経験の強さは,規定因とされる利益の評価のうちコストから影響を受けることが個人内の影響過程において説明された。負債感情がコストに起因して経験されやすくなることは,社会的交換理論からも妥当な結果であると判断でき,今後の感謝介入手法の改善に関する検討として,負債感情への対処に,向社会的行動の実行を用いることへの支持を得られた。 本研究課題に関する成果発表に関する報告をする。2022年度に実施した上記の研究は,2023年度の国内の学会大会にて発表予定である。2022年度に行った成果発表は,本研究課題の採択前に進めていた研究成果を日本心理学会大会のポスター発表で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,感謝介入手法の改善につながる知見創出を目的とした研究を2件実施予定であったが,データの収集段階において,オンライン実験を行うための研究計画を絞り込むことができなかった。そのため,オンラインでの実験研究の実施ができなかった。 また,研究代表者が翌年度に異動することになり,異動に伴う各種業務などが発生し研究課題遂行に十分な時間を使うことができなかった。その結果,収集済みのデータの分析や新たな研究計画の絞り込みなどが滞り,当初の予定よりも研究全体が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断調査を行ったことにより,個人内の影響過程について知見が得られたため,今後,実施する研究において扱うべき要因を絞り込むことができた。そこで,今後は当初の計画でもあったオンラインの実験を行う。 これに加え,2022年度には介入研究を行う際に臨床的な観点から意見を得られる研究者との関係を得たため,学校等における介入研究に向けた準備を進める。 また,研究成果は,随時,国内学会に加え,海外での学会発表も含めて成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
多額の経費を必要とするオンラインでの実験研究と縦断調査を計画していたが,研究代表者の異動準備により研究時間が確保できず,オンラインでの実験研究や成人を対象とした縦断調査の実施に至らなかった。 そのため,実験,調査に関わる費用,および研究の成果発表の見合わせによる旅費等を使用しなかった。 2023年度は,オンラインでの実験研究と縦断調査を実施するため,経費を必要とする。 また,研究成果の発表に伴う参加費や旅費などの経費や,介入研究に用いる資料作成等における謝金などの経費を使う予定である。
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