2022 Fiscal Year Research-status Report
Cognitive control: As a cognitive marker of depression
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22K13839
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Research Institution | Iryo Sosei University |
Principal Investigator |
増山 晃大 医療創生大学, 心理学部, 助教 (80827478)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抑うつ / うつ病 / 認知制御 / AX-CPT |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病における心理的指標は自己報告式の質問紙に留まっており,診断や治療 効果を客観的に示す指標は存在しない。本研究は,近年注目を浴びている新たな認知制御理論であるDMC(Dual Mechanism of Control framework)を援用し,実験課題から測定される認知制御の機能不全が抑うつ症状を鋭敏に反映する認知マーカーとしての応用可能性を検討するものである。 本年度は実験室環境における短時間のストレッサーに曝された前後における認知制御の機能不全を検討した。その結果,抑うつ傾向者において,ストレッサー前後における反応性制御の増加が示され,ストレッサーによって認知制御の機能不全が生じること,DMCにおける認知制御概念および測定課題であるAX-CPTの鋭敏性が示された。 本研究の結果は,抑うつ傾向者においてストレッサーに曝された直後に認知制御の機能不全が生じることから,これまで先行研究で議論された抑うつにおける認知制御の機能不全の発生源としての役割をストレッサーが担っていることを示している。本研究の成果は,抑うつ症状と認知制御の関連や因果関係,認知制御の機能不全に至るメカニズムなど,抑うつの病理に関する認知的アプローチの研究発展に寄与することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度内における遅れはあったものの,当初の予定通りに今年度の研究実施は完了した。 具体的には,今年度半ばに研究実施予定であったが,機材納品の遅れなどから,実験実施まで数ヶ月の遅れが生じた。しかし,対面による実験計画からオンラインでの実験に切り替えることで,その後の遅れを取り返し,年度内に研究計画は完了した。今年度の研究成果について,次年度に研究成果として公表する予定についても,おおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究実施について,申請者が大学を異動したため,新しい所属先での研究環境確保や,計画では協力を要請していた機関との連携が困難な状況である。対応策として,研究計画に関する本質的な部分は変更せず,滞りなく研究遂行できるよう,オンライン実験やオンライン上での研究協力者募集などを検討している。
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Causes of Carryover |
オンライン実験に変更したことにより,研究協力者に支払う謝礼額が多少減額したために生じた。次年度使用額については,事件度の研究計画における研究協力者の数を当初予定よりも増やすために執行する予定である。研究協力者,すなわちサンプルサイズを増やすことで,さらに妥当性の高い研究結果につながると考えられる。
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