2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of factors behind loneliness in persons with autism spectrum disorder: Implicit interpersonal orientation and acceptance from others
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22K13841
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 徹 早稲田大学, 人間科学学術院, その他(招聘研究員) (10879969)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 孤独感 / 潜在連合テスト / 対人志向性 / 受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症者が社会から受容されている感覚を測るための質問紙を翻訳し、国際比較を行った研究を、事前登録論文の枠でPLOS ONEに発表した(Connor et al., 2024)。諸外国に比べて、日本の自閉スペクトラム症者は被受容感が低く、本邦における自閉スペクトラム症の認知の広がりやスティグマの問題が示唆された。さらに、日本の自閉スペクトラム症者は、自分自身を受容している程度も低く、個人と社会の相互作用がネガティブなスパイラルに陥っている可能性も考えられた。 その受容感の背景にある要因として、潜在的な対人志向性を測る潜在連合テストのデータ解析も並行して行った。潜在連合テストで算出されるIATスコアは、もし「人といること」と「一人でいること」が対等な場合、ゼロになるはずだが、自閉スペクトラム症者と定型発達者のどちらも、有意にゼロより大きかった。さらにその両者に大きな差は見られなかった。これらの結果は、少なくとも自閉スペクトラム症者は、一人より他者といることを潜在的にポジティブにとらえており、定型発達者と大きな認識の違いはないことを示唆している。 また、定型発達者ではIATスコアが高い(人といることがポジティブ)ほどウェルビーイングが高く、孤独感が低かったが、自閉スペクトラム症者ではそのような関連が見られなかった。自閉スペクトラム者に対して、人といることをポジティブに捉えさせるような介入は、必ずしもウェルビーイングや孤独感の改善に繋がらない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自閉スペクトラム症者の被受容感を測る尺度を論文発表し、潜在的な対人志向性を測るテストの論文も発表準備中であるため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きIATデータの解析と論文執筆を行い、国際学術誌で発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
被受容感を測る尺度を用いた調査が国際共同研究となり、調査費用が想定ほどかからなかったことに加えて、潜在連合テストの解析・論文発表が遅れており、投稿・オープンアクセス代がかからなかったため、次年度に使用することとなった。
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