2022 Fiscal Year Research-status Report
対人志向的ピア・サポートにおける感謝と負債感を活用した援助行動促進プロセスの解明
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22K13858
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Research Institution | Hokuriku Gakuin University |
Principal Investigator |
松下 健 北陸学院大学, 社会学部(社会学科), 教授 (90768706)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対人志向的ピア・サポート / 向社会的行動 / 感謝 / 妥当性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、対人志向的ピア・サポートにおける向社会的行動を促進する方略を明らかにすることを目的としている。教育領域における対人志向的ピア・サポートは、主にいじめの解消と予防を意図した、学校における対人関係に起因する問題への対処法として、欧米を中心に広まった。実践家を中心に活動が展開されてきた経緯があり、実証的研究は十分に行われていないことが課題として指摘されている。 他者から援助を受け、恩を感じる状況において生じる感情には2種類あるといわれる。1つは有難いという感謝、もう1つは申し訳ないという負債感である。感謝場面で生じるこれらの感情は、向社会的行動を喚起することが仮定されている。したがって、これらの感謝感情は向社会的行動を喚起する可能性があり、そのプロセスを解明することは、対人志向的ピア・サポート研究の課題である向社会的行動を促進する方略の実証に寄与する。 こうした背景を踏まえ、2022年度(令和4年度)は、日本人の感謝と負債感を適切に測定する方法の検討を行った。有難い、そして申し訳ないという2種の感情について、それぞれに焦点を当てた感情喚起手続きを用いて、感情価に変化があるか否かを検証した。有難いという感情に焦点を当てた感情喚起手続きは、感謝と負債感の両方を高めたが、負債感よりも感謝を強く喚起した。申し訳ないという感情に焦点を当てた感情喚起手続きは、感謝と負債感の両方を高めたが、感謝よりも負債感を強く喚起した。このように、理論的予測と合致する効果が示されたため、構成概念妥当性の観点から、適切な測定方法であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主に次の2つの要因によって2022年度(令和4年度)の計画に遅延をきたすことなく進めることができた。(1)COVID-19の影響を受けることが少なかった。(2)遠隔地に移動しない、対人接触が少ないコンパクトな研究計画を予め立てた。 さらに、先行研究のレビューと、2023年度(令和5年度)に向けた予備研究の準備も行うことができた。以上より、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度(令和5年度)も対人接触が少ないコンパクトな研究計画を立てている。2022年度(令和4年度)予備研究の準備を行ったため、早々に予備研究着手することで、本研究の準備を整えていく。くわえて、2024年度(令和6年度)に予定している研究の予備研究の準備を進める。これらの方策によって、研究を推進していく。
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Research Products
(5 results)