2022 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患罹患者の反応に伴う行動変容による能動的な偏見介入方法の確立
Project/Area Number |
22K13859
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
津田 菜摘 同志社大学, 心理学部, 助教 (90906926)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スティグマ / アクセプタンス&コミットメント・セラピー / 偏見 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,精神疾患罹患者の反応による柔軟な行動変容を可能にする精神疾患への偏見介入方法の確立である。精神疾患患者は症状や重症度,そして個々に対してなど多様な方法が求められる。そのため,マニュアルに記載されている特定の対応方法を促進するだけでなく,相手の反応によって行動を変容させやすくすることが必要だと考える。そこで,本研究では2つの下位目標を設定した。まず,偏見に関連するフィードバック感受性に着目し,精神疾患罹患者の反応によって行動を柔軟に修正できる程度を測定可能にした上で,次に,精神疾患を罹患していない人物を対象に,思考の行動への影響力を抑える臨床的技法を用いて,適切な行動を増加させることで偏見を改善することとした。 そのために,2022年度は,一つ目の偏見に関連するフィードバック感受性に着目し,精神疾患罹患者の反応によって行動を柔軟に修正できる程度を測定可能にするという下位目標に取り組んだ。具体的には,精神疾患罹患者と接触する場合の留意点を尋ねる質問紙調査を行った。結果は質的に分析され,個人・集団に焦点化した対応と,能動的・受動的関わりの2軸が得られた。また,本調査では,留意している行動を実際に行った後の精神疾患患者の反応を尋ねており,軸と反応の関連を現在検討中であり,これらの結果を元に課題作成を行っている状態である。 以上の研究成果の一部は2023年度学会にて発表予定であり,論文投稿に向けて準備を進めている状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな尺度作成であり,調査項目の選定などに当初の予定よりも時間を要したため。また,調査結果の質的分析は今後の研究全ての基盤となり得ることから慎重に実施したことにより,当初の予定よりも時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,得られた質的分析の結果から,本研究の調査に関する量的分析を実施することで,新たな測定課題の内容と難易度決定を行う。その後,得られた測定課題の妥当性・信頼性の検討を行った後に精神疾患に対する偏見減少のための介入研究を実施して効果検証に活用する。介入プロトコルは既に翻訳・調整されていることから,測定課題が完成次第介入研究を実施できる予定である。
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Causes of Carryover |
課題の作成が遅延していることにより,課題の信頼性と妥当性の検討が未実施であることと,予定していた国際学会への出張が新型コロナウイルス感染症のため中止になったことにより,次年度使用額が生じた。予定していた研究の遂行と,国内・国際学会等への出張に使用予定である。
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