2022 Fiscal Year Research-status Report
日本人の動的感情処理の特性に基づく認知症予防・表情認知評価バッテリーの開発
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22K13871
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
濱 智子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (00755423)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 動的表情認知 / 日本人 / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会が進む我が国にとって、認知症の早期発見と予防、新たな治療法の開発は極めて重要な課題である。認知症では、記憶障害のみならず不安や抑うつを含む周辺症状が出現し、情緒不安定になることが多い。情動認知を含む社会的機能を総合的に評価し、早期に正確な判断をすることで、症状の進行予防や改善が見込める可能性がある。 情動認知は社会的認知の基本要素の一つであり、情動認知評価は社会的認知能力を評価する方法として注目されている。しかしながら、軽度認知症患者では情動認知能力が低下するという報告もある一方で、健常高齢者と変わらないとの報告もあり、知見は一致しない。またこれらの研究で用いられている表情認知評価法は統一されておらず、これが研究によって結果が異なる原因になっている可能性がある。表情認知評価法を標準化し、健常高齢者や他の精神疾患と軽度認知症患者における表情認知の違いを特定できれば、認知症の診断指標として診療に役立てられると考え、本研究に取り組んでいる。 本研究では、認知症の早期発見に向けた日本人の動的表情認知の評価スケールを確立することを目的とし、特に動的表情認知の性差や加齢(エイジング)の影響を詳しく検証する。表情認知には文化差や人種、年齢などによる差異があることから、これらを合わせたデータセットを作成する必要がある。また認知する顔の性別や顔の造り(目の大きさやパーツの割合など)が情動認知に影響する可能性もあることから、本研究では、モデルの顔を統一する。各年齢層の被験者が表出する表情を、コンピュータ上でモデル顔に当てはめることで表情動画を作成する。作成した表情動画もとに、年齢別、性別の動的表情データセットを構築し、評価スケールを確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた表情誘発用シナリオの作成は終了した。R5年度以降に行う予定であった表情の動きの数値化と、その数値を別の顔に当てはめた表情動画の作成については、プレ実験の結果、表情の動きの数値化は可能であったが、別の顔に当てはめた際に意図した表情にはならなかったことから、当初の予定を変更し、ディープラーニング技術を活用して表情を当てはめることとした。この変更により、表情の当てはめに必要な時間が短縮できることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
プレ実験の結果、動画作成方法当初の予定から一部変更し実施する。表情被検者の表情を動画で撮影し、別に撮影した顔モデル被験者の顔に当てはめる。これらの作業は当初の予定通りR5年度とR6年度に実施する。その後、作成した動画を別の評価被験者が評価することで、データセットの標準化を目指す。
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Causes of Carryover |
実施方法の一部変更により被験者が参加するパートがまだ開始されておらず、被験者への謝礼金が未使用である。R5年度以降の実施に伴い使用する予定である。
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