2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K13896
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐野 昂迪 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30794698)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | p進BSD予想 / Bockstein写像 / 降下理論 / オイラー系 / 岩澤主予想 |
Outline of Annual Research Achievements |
岩澤理論において重要な役割を果たす「降下理論」を新しい形で作り上げた。より具体的には、これまで知られていた降下理論はBockstein写像を用いるものだったが、これより精密な「導来Bockstein写像」を用いて降下理論を構築した。導来Bockstein写像はBocksteinスペクトル系列から得られるものだが、これを用いて「導来Bocksteinレギュレーター」を自然に構成したことが特に新しい点である。この理論の応用として、Bertolini-Darmonによって定式化されたHeegner点のp進BSD予想が、岩澤主予想からp進単数を除いて導かれることを証明した。また、Agboola-Castellaによって定式化されたBertolini-Darmon-Prasanna p進L関数のp進BSD予想に関しても同じタイプの結果を得た。さらに、一般のモチーフに対するp進BSD予想を導来Bockstein写像を用いた精密な形で定式化し、これについても岩澤主予想との関係を与えた。このモチーフのp進BSD予想をHeegner点の設定で詳しく考察することで、Heegner点と関係する階数2のオイラー系のp進BSD予想を明示的に定式化することもできた。 また、「導来p進高さ」のBertolini-Darmonによる定義と、Nekovarによる定義を比較し、両者が本質的に一致することを確かめた。前者はSelmer群、長完全列、導分作用素などを用いる具体的な定義で、後者はSelmer複体と導来Bockstein写像を組織的に用いる抽象的な定義だが、両者を「一般Bockstein写像」を用いて関係づけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
岩澤理論における新しい降下理論を構築し、それをp進BSD予想に応用することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続し、降下理論とColeman写像との関係、Rubinの公式との関係、導来Bockstein写像の性質などについて研究を進める。
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Causes of Carryover |
次年度に研究集会を開催する予定であり、このために使用する。
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