2023 Fiscal Year Research-status Report
6次元シンプレクティック多様体とその部分多様体の研究
Project/Area Number |
22K13913
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大場 貴裕 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50814464)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シンプレクティック多様体 / 接触多様体 / 部分多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,高次元の中で最も低い6次元の場合に焦点を当て,シンプレクティック多様体の分類,構成的研究の手法を開拓することである.より具体的には,以下の3つである:(目的1) 4次元部分多様体を含む6次元シンプレクティック多様体の分類;(目的2) ホモロガスな4次元シンプレクティック部分多様体の研究;(目的3) 6次元シンプレクティック多様体の改変操作とファイバー構造の関係解明. 昨年度に (目的2) の研究が予想以上に進んだことから,当初の計画を変更し,今年度は (目的1) の研究に重点をおき,Myeonggi Kwon氏(Jeonbuk National University)と研究を進めた. (目的1) の研究は,計画から少し着眼点を変え,接触多様体のStein充填の視点から研究を進めていた.その結果,3次元球面の単位余接束のStein充填は微分同相の差を除き,ただ一つであることが決定できた(すなわち,任意のStein充填は3次元球面の単位円盤余接束に微分同相となる).単位余接束のStein充填は,「critical」と呼ばれる場合に相当し,一般にStein充填のトポロジーを調べるのは困難と認識されている.この研究では,擬正則曲線のモジュライ空間のコンパクト化を用いており,既存の研究よりもそのトポロジーを詳細に調べた.また,本研究の応用として,ある条件をみたすシンプレクティック部分多様体としてS^2×S^2を含む6次元閉シンプレクティック多様体は,複素3次元の2次射影超曲面に微分同相であることが示せた.これは (目的1) の研究で期待していた結果に おおよそ相当する.さらにシンプレクティックコボルディズムの理論への応用も一意性の結果から得ている.以上の結果を論文にまとめ,プレプリントとしてarXivで公開した.また,この結果に関する講演もいくつか行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(目的1) の研究で,当初想定していた結果を完全に含むわけではないが,応用範囲のより広い結果を得られたのが理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
(目的1) の研究については,より広いクラスについて,接触多様体のStein充填の観点から研究を継続する.また,(目的3) の研究に着手し,計画通りにまずは研究を進める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は旅費にある.前年度の繰越分は海外旅費で使用できたが,それでもなお,今年度分は使いきれなかった.また,研究協力者が報告者の元を先方負担で訪れることがあり,こちらが使用する機会が想定より少なかった.来年度は海外出張や研究協力者への旅費の補助を当初の計画よりも多く計画している.また,今年度見送ったデスクトップPCの買い替えも行うことも計画している.
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