2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13921
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 正樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (30880520)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | transverse結び目 / symplectic surface / symplectic filling / 同変Seiberg-Witten理論 / quasipositivity / Montesinos knot / branched covering space / contact構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は, 被覆空間・幾何構造に付随する非コンパクトな4次元多様体に対してゲージ理論を展開するものであり, さらに, これを用いて低次元トポロジー・シンプレクティックトポロジーに応用することを目標としていた. 今年度は, 主にコンタクト構造に付随する非コンパクト4次元多様体に対するSeiberg-Witten理論の展開に関する研究を行なった. 一つの成果として, 「Monopoles and transverse knots」というタイトルの論文を飯田暢生氏と書き, arxivに投稿した(arXiv:2403.15763). この論文では以下の考察を行った: ホモロジー3球面とのその上のcontact構造, その中のtransverse結び目に対して, 同変Seiberg-Witten Floerホモトピー不変量を定義し, transverseイソトピーの不変量であることを示した. ・branched coverに対して定義される同変Seiberg-Witten Floer理論のいくつかの構造定理を証明した. この理論はもともとBaraglia-Hekmatiにより展開されていたものである. ・上記の構造定理を用いて, 結び目コンコーダンス不変量 q_Mを定義し, これがslice torus不変量になることを示した. ・q_Mや, Baraglia-Hekmatiのθ不変量を計算することで, Montesinos knotがquasipositiveになるための障害を与えた. D^4のブローアップに埋め込まれたsymplectic surfaceのホモロジー類に強い制約を与えた. これらの結果は, contact構造に付随する非コンパクトコーン上でSeiberg-Witten理論を展開することにより得られたものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記に発表した論文「Monopoles and transverse knots」(arXiv:2403.15763)では, 結び目のquasipositivity, symplectic曲面の存在問題等に強力な応用がある. これらの応用は現状, Heegaard Floer理論, instanton Floer理論などの他の理論から回復不能なものになっており,今後この手法は海外からも注目されることが予想される. また, 理論を展開する中でいくつかのより広いクラスの結び目や3次元多様体を扱える可能性も秘めており, これからの理論発展も大きく見込まれるものである. 例えば, 「Monopoles and transverse knots」では主に次の状況を考えていた: ・branched coverのorder が2であるもの ・S^3内の結び目 一つ目に関しては, 2である必要はなく, 一般に素数や素数べきの場合には拡張が見込まれる. その場合にも部分的には理論をすでに構築しており, その場合により強い応用が得られることが期待される. また, 二つ目に関しても, S^3である必要はなく, ホモロジー3球面に困難なく理論を拡張することはできる. しかし, 計算可能性の都合上, 前述の論文ではS^3の場合に制限して議論していた. これについても計算ができるための十分条件を満たす3次元多様体のクラスには目星がついており, 今後継続して考察を進めていく予定である. また, 今年度は, 以前arXivにアップロードしていた周期的多様体状のゲージ理論を考察する論文「Positive scalar curvature and homology cobordism invariants」がJournal of Topologyにアクセプトされた.
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Strategy for Future Research Activity |
上記にある通り, 「Monopoles and transverse knots」(arXiv:2403.15763)の先に広がるいくつかの方向性を進める. すなわち, ・branched coverのorder が素数pであるもの ・ホモロジー3球面の中の結び目 に対してより一般の理論展開を行う. また, 計算の都合上, ホモロジー3球面上のコンタクト構造は, planer open book decompositionが存在する場合を考える. この状況で理論を展開することで, 結び目コンコーダンス群上の加算種類の関数 q_M^p が得られる. この関数がhomomorphismになるか, という問題は, p=2でない場合については未解決である. また, transverse結び目の同変Seiberg-Witten Floerホモトピー不変量をより多くの例について計算するため, この不変量のsymplectic cobordismに対する自然性も残った問題である. 不変量を計算するという面では, 同変理論でない場合, Heegaard Floer理論でPlamenevskayaはコンタクト不変量の線型独立性に関する主張を証明しており, これの同変版も現在議論中である.
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Causes of Carryover |
いくつか参加を予定していた集会(微分トポロジー23や4次元トポロジー)に招待され, 旅費を支援しされたことから, 使用予定だった旅費を次年度使用額にまわすことになった. 次年度は, 関連する集会への旅費や共同研究推進のための旅費に使う予定である.
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