2022 Fiscal Year Research-status Report
p(t)ラプラシアンを持つ微分方程式に対する基礎理論と解の漸近挙動
Project/Area Number |
22K13942
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤本 皓大 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 特任講師 (00875065)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | p(t)-Laplacian / 解の振動 / 解の漸近挙動 / extremal solution |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、p(t)-Laplacian を持つ常微分方程式の解の延長可能性・大域存在性・零解の一意性についての議論を行なうとともに、解の振動性と漸近挙動に関する研究に取り組み、以下の成果を得た。
(1) p(t)-Laplacian を持つ Emden-Fowler 型常微分方程式に対して、関数 p(t) が 1 に収束する場合に着目して Leighton-Wintner 型の振動定理を構築した。これにより、関数 p(t) の収束のオーダーが 1/log(log t) よりも遅いとき、全ての proper な解が振動するための十分条件、係数に関する積分条件によって表すことができた。この結果について学術論文として投稿し、掲載された。
(2) p(t)-Laplacian を持つ Emden-Fowler 型常微分方程式に対して、関数 p(t) が 1 に収束する場合の非振動解の漸近挙動について議論した。特に、単調増加する非振動解の存在性を示すとともに、解をその導関数の収束・発散によって分類した。さらに、導関数が無限大に発散するような解である extremal solution が存在することを示した。このような解は p(t) が定数のときには存在せず、p(t) が 1 に収束する場合に特有のものである。加えて、weakly increasing solution という導関数が 0 に収束する解と extremal solution とが並存することも示された。本結果についても学術論文として投稿し、掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の通り、p(t)-Laplacian を持つ常微分方程式に対して、解の延長可能性・大域存在性・零解の一意性という基礎理論の構築が進み、研究は順調に進展していると言える。さらに、p(t) が 1 に収束する場合についても考察した. 特に、extremal solution という p(t)-Laplacian に特有の解の存在を示し、p(t) が遅く収束する場合には Leighton-Wintner 型の振動定理が成立することも示した。 以上より、p(t)-Laplacian を持つ常微分方程式の基礎理論と解の漸近挙動についての研究は, おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、p(t)-Laplacian を持つ常微分方程式の基礎理論と解の漸近挙動についての研究を進める。特に、p(t)-Laplacian を持つ常微分方程式に対して、解の振動に関する比較定理を証明する。また、p(t) が 1 に収束する場合以外においても、Leighton-Wintner 型の振動定理をはじめとする解の漸近挙動の議論を行なう。
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