2022 Fiscal Year Research-status Report
The sharpness of CKN-type inequalities for vector fields
Project/Area Number |
22K13943
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
濱本 直樹 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (40880670)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | CKN不等式 / ソレノイダル場 / 渦無し場 / 最良定数 / Hardy不等式 / 不確定性原理不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はCaffarelli-Kohn-Nirenberg(以下、CKN)型に類する関数不等式を研究対象として、主に制約条件付きベクトル場もしくは微分形式を未知関数とした場合の最良構造について研究を進めている。本年度において特に際立った進展としては、CKN型不等式の中でも物理学的に重要な不確定性原理不等式について、ソレノイダル場に対する最良定数を計算した論文がフランスの数学雑誌Journal de Mathematiques Pures et Appliqueesに掲載された。論文審査では、3次元の場合と4次元以上の場合では最良定数の達成構造が異なるところが非常に興味深いという審査員からのコメントを受けて、達成関数の具体表示について考察、追記したため、プレプリントよりもさらに充実した内容となっている。同不等式については、さらに2次モーメント部分をベクトル積の二乗積分に置き換えることで不等式を強化する試みにも取り組み、その内容を学会発表で講演した。同不等式を一般の重み指数をもつCKN不等式に拡張する問題については、問題を1次元最小化問題に帰着させるところまでは可能であることが判明しているが、それ以降の解明はかなり難航することが予想される。一方で、Hardy不等式の最良定数は達成されないことが知られているが、その補正項に対する興味がきっかけとなって、球体上のPoincare不等式の最良定数を制約条件付きベクトル場に対して求める問題にも取り組み始めた。実際にある程度まで最良定数の計算可能性が判明し、学会発表では渦無し場に対するPoincare定数の計算結果を発表した。関連する問題として、球体上Hardy不等式の補正項の最適評価を求める問題にも制約条件付きベクトル場について取り組んでいきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Maz'yaの未解決問題であった不確定性原理不等式の最良定数をソレノイダル条件下で求める問題について、二乗ノルムについてはすべての次元について解決が得られ、最良定数の明示値と達成関数の具体表示が明らかになった。当初は最良定数がそもそも計算可能かどうかが不明という段階からの出発であったことから、かなりの進展があったと言える。一方で、CKN型不等式全体の視点で見ると、この手の問題解決が得られているのは現時点ではHardy不等式と不確定性原理不等式の2種類のみに限られており、両者を連続パラメータでつないだ一般のCKN不等式に対する最良定数の計算については当初予想していたよりも難航している。問題の1次元化が可能であることは判明しているため、特殊関数論や常微分方程式論についての先行研究を色々と調べながら困難克服の可能性を探っていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
CKN不等式のソレノイダル場もしくは渦無し場に対する最良定数の計算は、パラメータの特定の値においては成功しているものの、大部分が依然として未解決状態が続いている。問題の1次元化にはある程度成功するのであるが、それより一歩踏み込んだ計算可能性については、特殊関数や常微分方程式論を見直しながら探っていく予定である。また、テスト関数の定義域を定曲率空間のような平坦でないRiemann多様体に変形することによるCKN不等式の最良定数の変更について行く行くは調べていく予定であるが、その前にEuclid空間の有界領域などについてある程度調べておく必要がある。まず一旦は研究対象を最良値の知られているPoincare不等式もしくは重み付きHardy不等式に絞り込んで、計算可能な最良値を見出していく予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度において、実際に行った研究活動が特別研究員奨励費の科研費でも遂行可能であったことから、物品費や旅費の大部分をそちらの科研費での使用に回したため、次年度使用額が生じることになった。次年度では書籍の購入費や研究集会への出張ならびに開催等で当該助成金を使用していく予定である。
|