2022 Fiscal Year Research-status Report
完全非線形偏微分方程式とその自由境界問題に対する理論と応用
Project/Area Number |
22K13944
|
Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
小杉 卓裕 公立鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 講師 (80816215)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 平均場ゲーム / 随伴法 / 適切性 / 不動点定理 / 藤田型方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mean-Field GamesはJ.-M. LasryとP.-L. Lionsにより偏微分方程式として定式化された,極めて多数の理性的なプレーヤーが制限されたゲームの情報をもとに最適な選択肢を選ぶことを表す問題であり,数学的には,個々のプレーヤーの最適制御を表す (粘性) Hamilton-Jacobi 方程式と,その最適な制御を移流項をもつ Fokker-Plank 方程式の系によって記述される.後者は全プレーヤーの分布に関する方程式である.また,Gomes-Saude (2021) により,第3の方程式として電気のような溜め込んでおける商品について需要と供給のバランス表す積分方程式を導入した1次元トーラス上のMean-Field Gamesの系について解の存在が示された.この系は価格形成モデルと呼ばれる.我々はその一般次元版について,確率最適制御理論を用いた評価により解の存在を示したBonnans-Hadikhanloo-Pfeiffer (2021) と異なる手法として,偏微分方程式論的解の評価や不動点定理のみを用いて解の存在を示すことに成功した.また,分布の初期値が正の場合に解の一意性も示した.本結果における解の意味は古典解であるが,粘性消去法を用いることで粘性項がない価格形成モデルにおいて弱解の存在を示せる可能性がある. 藤田型方程式は熱に依存してさらに熱を発するような化学反応を表す半線形熱方程式であるが,その完全非線形版,つまり2階について非線形化した方程式の有界領域での藤田指数を求めた.藤田指数は解が時間大域的に存在しうる臨界のことである.本結果は粘性解の意味で示している.藤田型方程式に現れる非線形項 (未知函数のベキ乗) は分岐過程にも現れるため,粘性解での結果はその理論と繋がる可能性がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画ではMean-Field Gamesの解析に重きをおいており,その研究について一つ結果が得られた.今後の研究についてでも述べるように,これに付随して研究が進むと考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
最近Mean-Field Gamesの粘性消去法の際の収束率についての結果が出された.この手法について価格形成モデルの粘性消去法や,本研究計画において挙げている自由境界問題の近似解の収束率への応用可能性を考える.また,これまで得られたHarnack不等式の結果を応用し,p-ラプラシアンを含む完全非線形方程式に対する正則性の問題としてPhragmen-Lindelofについても考察する.
|
Causes of Carryover |
次年度以降研究室整備のために必要となる額が増えることが予想されるため,使用目的 (対象研究) が自由で繰り越せない学内予算とバランスをとった.
|
Research Products
(1 results)