2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of solution dynamics for time-fractional reaction-diffusion equations and systems
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22K13954
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
劉 逸侃 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (70773084)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非整数階拡散方程式系 / 非整数階反応拡散方程式 / 適切性 / 逆問題 / 解の爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は単独かつ線形の非整数階拡散方程式に関する先行研究に基づき、「線形の非整数階拡散方程式系」と「単独の非整数階反応拡散方程式」を考察し、それぞれ解の適切性と爆発について解明した。 1. 異なる時間微分階数をもつ空間1回微分まで結合する線形の非整数階拡散系の初期値・境界値問題を解析し、解のいくつかの性質を解明した。具体的には、カップリングする部分をソース項の一部とみなすことによってマイルド解を定義した上、逐次近似法で解を構築し、その一意存在性と正則性を示した。また解の漸近挙動について、短時間では最大の時間微分階数に、長時間ではLaplace変換を用いて最小の階数に依存することを示した。一方、微分階数を決定する逆問題について、カップリングの効果が一定の強さをもつことを仮定し、1つの成分に対する空間1点における観測データによってすべての階数が一意的に決められることも証明した。 2. 藤田型の非線形項をもつ半線形の非整数階反応拡散方程式について、斉次Neumann境界条件の下で爆発解と時間大域解を考察した。非線形項のべき数が1以上の場合、非整数階常微分方程式の初期値問題に対する比較原理を確立した上、爆発する特殊な劣解を構成することによって解はL1ノルムの意味で爆発することを確認した。さらに、劣解から爆発時刻の下からの評価を得た。一方、非線形項のべき数が1以下の場合、Schauderの不動点定理を用いて時間大域解の存在を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線形の非整数階拡散方程式系に対する研究成果(解の適切性と漸近挙動など)は当初の予定通りであるが、当該分野において初めて得られたものであり、後続研究の礎石といえる。また、非整数階反応拡散方程式に対する研究は次年度に行う予定であったが、比較原理と解の爆発に関して初歩的な成果が得られて、当初の計画以上に進展している。 一方、計画していた非整数階拡散方程式系の一意接続性および数値解析の研究はまだ着手していないが、準備がある程度整ったため次年度に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで得られた成果を整理し示唆を受け、線形の非整数階拡散方程式系と非整数階反応拡散方程式に対してそれぞれつぎの研究を行う。 単独の非整数階拡散方程式の一意接続性および数値解析に関する結果をサーベイし、方程式系への一般化を試みる。また単独の場合にないカップリング効果に焦点を当て、解の一部の成分の局所的なデータから全体の大域的な情報を決める可能性を探る。同様に、関連する各種の逆問題に対しても、カップリング効果で観測データを必要最小限にする可能性を調べる。 一方、非整数階反応拡散方程式に関しては、解の適切性と比較原理に関する先行研究からヒントを受け、初めに順序保存系に対して整数階の場合の結果を一般化する。同時に、様々な非線形項に対して数値実験を行い、解のダイナミクスを検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、2022年度に計画した出張は2件に止まった。予定していた旅費の大半は使えなかったため、次年度使用額が生じた。2023年度の使用計画については、国内外における学会参加および研究打ち合わせのための出張を計画する。また場合によって、予定していた旅費の一部を物品(書籍、計算機器など)購入に転用することがある。
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Research Products
(12 results)