2022 Fiscal Year Research-status Report
Relation between propagation velocity and non-adiabatic temperature distribution of a flame front in low-Mach-number model
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22K13957
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
和田 啓吾 金沢大学, 融合科学系, 助教 (30847728)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流体力学 / 微分方程式 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量保存則や運動量保存則、エネルギー保存則などから成る偏微分方程式系を差分化して数値的に解くことにより、密度や温度の連続的な時間変化を記述することが可能となる。これは、例えば人流解析において、観光客の集団の混雑具合を密度で表現して、さらに興味の方向・度合いを速度ベクトルの向き・大きさと考えれば、流体力学モデルにより集団行動の様子を記述できる。集団の中での1人1人の人間の行動は無視し、ある程度の人数の行動を平均化した集団を扱っているという状況下では、流体力学モデルが有効な手法となる。実際の問題として、年齢や国籍などから生じる趣味・嗜好や歩行速度の違いを考慮すると、複数の集団の異なる運動を記述する必要性が生じる。これまでに、各集団が独立に移動し、お互いに干渉しないという条件の下で解析を行ってきた。今回の解析で特徴的なのは、集団ごとに興味を引く、あるいは避けたいと思うイベントが発生した場合に、各集団の移動がそれまでの軌跡からずれていく様子を記述した点にある。これは、エネルギー保存則を情報量の保存則と考えることにより、熱の流れを魅力的な情報の流れと解釈することで可能となる。今後、インバウンドによる観光客の増加を期待している現状では、観光スポットにおける混雑に伴う事故の防止、さらには、地域住民の生活圏に観光客が侵入することによる行動制限やストレスの増加など、あらゆる問題を解決するためにも、人流解析は重要となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、質量保存・Navier-Stokes方程式や熱伝導・物質拡散方程式から成る偏微分方程式系を用いて、燃焼反応の解析を行う予定であったが、諸事情により、人流の解析などを行うことがメインとなった。研究計画に記していた層流火炎速度公式の導出およびその温度分布との関連性については、プレプリントにまとめてarXivに投稿したものの、マルチスケール解析による火炎面の弱非線形性の考慮までは到達できなかった。しかしながら、燃焼においても人流においても、扱う方程式系は類似している。特に今回は、熱と情報量を似たようなものと解釈して人流解析を行ったこともあり、数値計算の部分に関してみれば、当初予定していた解析手法をそのまま用いることができる。さらに、燃焼における化学反応項を、人流解析における情報量の湧き出し・吸い込みのように解釈することで、これまでの解析手法を活かすことが可能となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
燃焼に関する研究については、人流解析の研究で一定の成果が得られた後に、再び着手することになると考える。直近の推進方策としては、まず情報量の保存則について、燃焼分野で得た知見を活かしつつ微分方程式を構築し、観光客の興味関心の方向が情報によってどう影響を受けるのかを可視化する。その際に、現地で発信される情報だけでなく、SNSなどから瞬時に拡散していくような情報の取り扱いにも対策を講じる必要がある。また、画像解析の結果を組み合わせることで、年齢や性別、国籍などによる集団の識別方法についても考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究計画の変更及び論文出版費用の支出が無くなり、その代わりとして、人流解析のために必要なノートPCの購入に充て、その余剰分が次年度使用額として生じた。次年度以降も、人流解析に必要な電子機器や書籍などの購入に費やす予定である。
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